現役エンジニアが疑問視する
プログラミング教育の内容

「子どもたちの興味や関心の向きはさまざま。一律できちんと授業内容を理解させることは通常の授業でも難しいと思います。小学校のプログラミング教育は情報活用の基本的な能力や論理的思考力を育むことが狙いだから、どの教科でも盛り込めるという考えが、そもそも論理的思考じゃない。『プログラミング的思考』という、何を教えるかが曖昧な授業を、プログラミングの経験のない先生が子ども全員に対して均質に行うことは無理な話です」

 検索エンジンの開発を行うNさんは、小学校のプログラミング教育に懐疑的だ。

 プログラミング教育に不慣れな先生をサポートする「ICT支援員」制度が設けられてはいるものの、授業にはパッケージ化された教材が用いられるのが現実的だろう。しかしそれでは、プログラミングに通じる論理的思考力が養われるのかが懸念される。

「今行われている授業に、プログラミング教材を加えましたというだけなら中途半端。本気で将来IT業界で役立つ人材育成を目指すなら、民間から専門の講師を招いてでも、単独の教科にしたほうがいい」とNさんは言う。

 金融系のネットワークエンジニアのSさんもNさんと同じ意見だが、「マジでプログラミングを教えるといっても、いわゆるテキストを並べるコーディングの知識は小学生には不要ですね。厳密にはプログラミングとはいえないかもしれないけれど、簡単な操作でプログラミングができる『スクラッチ』のようなビジュアルプログラミング言語だったら、子どもでも基礎が理解できて、教育的価値があると思う」と言う。

「スクラッチ」はマサチューセッツ工科大学メディアラボが開発し、無料で利用できる子ども向けビジュアルプログラミング言語だ。40以上の言語に対応し、150以上の国や地域で利用されているワールドワイドなコミュニティーを持つプログラミング環境で、人気が高い。