「あれだけ迷惑かけて、クビじゃなくて退職なんて、おかしい!」

 ところが課長は「クビ(解雇)は法律上ハードルが高く、会社の就業規則には無断欠勤が14日以上続いた場合(*下記参照)、退職とみなすという規定があるので、会社はトラブルを避けてそのように判断した」と説明をした。

 今回のケースのように、突然社員が来なくなったり、連絡が取れなくなったりといった場合、以下のフローで対応することをお勧めする。

(1)安否確認する
 最初に病気や事故、逮捕されたなどの可能性があるのかどうかを確認する。一人暮らしの社員の場合は、病気や事故で連絡がつかない可能性も考慮しなくてはならない。

(2)会社側に原因がないかを確認する
 今回のケースでも人事が「パワハラがなかったか?」などと課長に確認している。出勤できなくなった原因が会社側にないかを確認するためである。

(3)出勤を促す
 本人に、出勤するように連絡をする。電話に出ない場合などは、メールやLINE等でも構わない。とにかく、出勤の督促を何度か行うことが必要だ。

(4)就業規則に則って退職とする
(3)を行ったものの本人が連絡もせず無断で休んでいる場合は、解雇ではなく自然退職となるように就業規則に定めておいた方がいいだろう。なぜなら解雇とした場合、パワハラなどが原因で出勤できなかったことが後で判明すると、解雇無効の争いとなる可能性もあるからだ。

 今回の新人・山田のような部下や後輩に悩む人もいるだろう。若い人たちを見ていると、とても傷つきやすく、デリケートに見える一方で、承認欲求が非常に強いように思う。

「イマドキの若い人はよく分からない」と拒絶していては上司と部下の距離がなかなか縮まらないだろう。上司として部下と信頼関係を築く初めの第一歩として、相手をよく見て認めるところは認めるよう受け入れる努力をしていくことが必要ではないかと思う。

*労働基準法第20条では、解雇30日前の予告、または30日分の賃金支払(解雇予告手当)の支払いを義務付けているが、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合」には、労働基準監督署に申請することで、解雇予告の除外認定を受けられるとされている。除外認定の基準は通達(昭和23・11・11基発1637号)で示されており、そのうちの1つに「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」というものがある。これを根拠として、2週間以上無断欠勤が続き本人と連絡が取れない場合、退職の意思表示とみなして自然退職扱いとしている就業規則も多い。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。