「Less is more」は
時代の流れを象徴するキーワード
「Less is more」は、ドイツの建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。
彼はル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトと並ぶ、近代建築の三大巨匠のひとり。もちろん「Less is more」は建築について語られた言葉ですが、「より少ないことは、より豊かなことだ」というキーワードは、そのまま現在の世の中が求めているものではないかと思います。
今ヒットしている商品を見ても、それは明らか。たとえば、iPhoneもそう。マニュアルもなく直感的に使えるし、キーボードやボタンなど余計なものがない、デザインも基本的な機能もシンプル。
かつてのヒット商品といえば、もっと機能がたくさんあって、分厚いマニュアルがついていて、デザインも豪華なものばかり。iPhoneのヒットは、時代の流れが求めているからにほかなりません。
ファン・デル・ローエ自身も言っていることですが、付け加えたり飾り立てたりするよりも、減らしたり、シンプルにすることのほうが難しいもの。これはライフスタイルにもいえることです。
かつてのように一生懸命働いて、稼いだお金をどんどん使う時代は、あまり細かいことは考えなくてもよかったかもしれません。広告やCM、マーケティングによって、必要以上のモノを買わされることが、イコール幸せだと信じられていたからです。
しかし、シンプルに暮らしたいと思うのであれば、真剣に自分の生活や人生を考えなければなりません。しかもそれを、「自分の意志」で選んでいくことが重要です。モノだって減らさなければなりませんから、よりクリエイティブに生きることも求められるでしょう。
もともと、こうした考え方は日本人の根底にあったもの。しかし、高度経済成長期をはじめとする物質至上主義の影響を受けて、徐々に変わってしまいました。