「つみたてNISA」という制度をご存じですか? 税金が得する口座を開いて、そこで投資信託を積み立てで購入する制度です。
銀行は儲からないので積極的に教えてはくれませんが、税金が得するほか、手数料の安い投資信託が購入できますし、金融機関によっては100円から始めることができるので手軽です。
そんな良い商品を広めるべく、セゾン投信の中野晴啓社長が上梓した『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』。この連載はこちらの本から、エッセンスを抜き出して連載いたします。

第1回はこちら

こんな投資信託は買ってはいけない!
「テーマ型ファンド」

この本でご紹介する「つみたてNISA口座」以外の課税口座では、なんと6000本超の投資信託から自由に選んで購入することができます。

初めて投資信託を購入しようとして金融機関を訪れ、そこで勧められてついつい買ってしまうものに「テーマ型ファンド」というものがあります。現状、つみたてNISAの口座では購入できないのですが、それ以外の口座では購入できます。

さらにこういったわかりやすい商品は、販売側が売りやすいので「売れているランキング」などに登場しやすいもの。すると購入するほうは「この投資信託は人気なのか」と、さらに売れてしまう…というものです。

テーマ型ファンドは、なぜ買ってはいけないのでしょうか。
そもそもテーマ型ファンドとは、その時々で話題に上っているテーマをファンド名に冠し、そのテーマに関連性の強い銘柄を組み入れて運用する投資信託のことです。

例えば「IT関連銘柄ファンド」であれば、コンピュータ会社、家電、電話会社、半導体メーカーなど、ITのハード面、ソフト面に関連する企業の株式のみを組み入れて運用します。

2018年に新規設定されたファンドの中にも、テーマ型ファンドはたくさんあります。ファンド名に付けられた言葉をざっと挙げると、「ロボティクス」、「インフラ関連」、「最高益更新企業」、「健康社会」、「元気シニア」「東京圏応援」、「連続増配成長株」、「ESG」、「SDGs」、「AI」、「ガバナンス」、という有様です。

こうした流行り言葉を目にすると、何となく儲かりそうな感じがしませんか。
しかし、テーマ型ファンドには落とし穴があります。それは、株式市場において、そのテーマが一番物色されて、株価がまさにピークを付けようというところで新規設定されるパターンが多いことです。言うまでもなく、株式市場での関心が高まっているときというのは、世間一般にもニュースなどで取り上げられていることが多く、誰もがそのテーマについて、多少の関心を示しています。その局面で、タイミングよく設定されれば、買う人も多いため、投資信託にたくさんお金が集まるという算段です。

ただ大方の場合、買った直後は値上がりしたとしても、やがて人気がピークを過ぎると、あとは値が下がるだけです。そう考えると、テーマ型ファンドはいくら「長期的なテーマです」と言われたとしても、実は短期売買向けで販売側にとって売りやすいファンドであると考えることができます。

ちなみに、こうした状態を嘆いたためか、金融庁が作成した「平成28事務年度 金融レポート」において「過去の株式投資信託の販売動向を見ても、ブームに流され、株価のピークにおいて株式投資信託が最も売れる傾向が見られているが、個人投資家が安定的な資産形成を行うためには、こうした売買のタイミングを気にする必要のない、資金投入の時期を分散する積立投資を行うことが有益な方法と考えられる」とコメントされていました。
つまり、テーマ型ファンドは、金融庁に言わせれば、長期的な資産形成に不向きであると判断されており、だからこそ、つみたてNISAで購入できる投資信託から除外されているのです。

中野晴啓(なかのはるひろ)
セゾン投信代表取締役社長、1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社2006年セゾン投信を設立。07年4月より現職。積み立てで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、それに合った2本の投資信託を運用し、価値ある投資信託に送られる「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を5年連続受賞、口座開設数約14万人、預かり資産約2400億円に。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。
著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』『お金のウソ』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)ほか多数。