「研修の企画」の段階で特に大事なのが「対象者分析」です。「対象者分析」については、『研修開発入門』(ダイヤモンド社)でより詳しく触れられていますが、私は最低でも以下の3点は押さえることが必要と考えています。

企画の段階で特に大事な
「対象者分析」3つの観点

・知識:研修テーマに関連する知識や学習履歴をどの程度、有しているか?
・スキル:研修テーマに関連する業務スキル、専門技術をどの程度、有しているか?
・マインド:研修テーマに対するメンタリティ・意識・意欲の状態は?

 研修対象者が日常業務においてどのような問題を抱えているのか、何がどこまでできていて、本来のありたい姿に近づくためにはさらに何が必要なのか。すなわち参加者の「現状」と「ありたい姿」をクリアにして、そのギャップを解消するための「手段」として研修カリキュラムを組み立てていくことが必要です。

 立教大学の中原淳先生が監修されている『研修開発ラボ』では、参加者の期待だけでなく、組織・現場のニーズや経営戦略も踏まえた「経営に資する社内研修を構築する」という視点で、研修ニーズ分析・対象者分析をより掘り下げてご紹介しています。詳しくは、「企画評価コース」「開発設計コース」の案内をご参照ください。

 2つめの対策は、「目の前の参加者のニーズを拾いあげる」アプローチです。

 先ほどの「対象者分析(現場ニーズの把握)」が研修企画時のアプローチであるのに対して、こちらは当日研修が始まってから取れる対処策です。

 先ほどと同様に誕生日の食事に喩えるならば、行くレストランは決めていたとしても、実際にお店で何をオーダーするかは当日メニューを見てから決めたいのと同じです。特に企業研修の場合は、連載第1回「研修講師の難しさはどこにあるのか?」でも触れたように、「講師」と「研修内容」が同じであっても、「受講生」次第で場が大きく変容することがあるので、より「目の前の参加者のニーズ」に寄り添う必要があります。

 私は社外講師という立場上、研修企画のご担当者(または外部の研修会社の担当者)から前述の「対象者分析」にあたる参加者情報を聞いて登壇するのが一般的です。そこで意外と起こりがちなのが、「聞いていた話と全然違う!」ということです。