訪日外国人が怒りを覚える
「クルマ優先社会」日本

 という話をすると、「日本は欧米のような車社会じゃなく、公共交通機関が充実して歩く人の割合が多いから死亡率も多くなっているだけだ!」と、どうにかして、自動車事故で歩行者の死亡率が高いことを正当化しようとする人たちがいるが、日本も地方へ行けば、すぐ近くのコンビニへ行くのもクルマという、かなりのクルマ社会である。

 事実、日本自動車工業会が公表している2015年末の人口1000人当たりの自動車保有台数を見ても、日本(611台)は、英国(591台)、ドイツ(598台)を上回っている。また、百歩譲って「日本はクルマ社会ではない」ということにしても、日本が「歩行者軽視」であるという事実はまったく変わらない。

 日本が他の先進国よりも歩く人の割合が多いのなら、他の先進国よりも歩行者が優遇されなくてはいけない。しかし、現実はどうか。

 自動車道路は広くて3車線あっても、歩道は狭い。すれ違うと肩がぶつかるし、ベビーカーを押していると急いでいる人に舌打ちされるほどだ。しかも、自動車の往来を邪魔しないように、歩行者は歩道橋を渡ることになっている。

 そんなの当たり前でしょ、と思うかもしれないが、外国人には、これはかなり「異常な光景」である。ニューズウィーク日本版でコラムを執筆するコリン・ジョイス氏もこう述べている。

「歩道は狭過ぎて混雑し過ぎ。そして、なぜ道路を渡るのに、僕が階段を上らなければならないのか? 車が優先されていることに、僕は憤りを覚えた」(2018年2月7日)

 なんてことを紹介しても、憤りを覚えたのはこっちだとキレる人がほとんどだろう。

 多くの日本人が抱くセルフイメージでは、日本社会は歩行者優先で、歩道や横断歩道を歩いていれば100%安全。クルマのドライバー側も、歩行者の安全をいつも気にかけている、という世界一交通マナーの素晴らしい国ということになっているからだ。

 が、残念ながらこれもデータを見ると、「妄想」に過ぎない。