こうした背景から、A380のような新しいタイプの航空機を導入する場合には、価格設定を含めた販売戦略に関しても、これまでとは違う新しい戦略があったほうがいいと、私は考えています。では、値崩れさせずにA380を通年運用するためには、どのような工夫があるといいのでしょうか。

大型の「A380」を値崩れ
させずに通年運用するには

 私のアイデアは、5つめのクラスを導入したらどうかというものです。現在のファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーに加えて、もう1つ格安で販売しやすいクラスを導入するのです。仮にそれを「LCCクラス」とでも呼びましょうか。

 たとえば、座席の広さはエコノミークラスであるものの、売り方も機内サービスもLCCと同じ売り方をする。そんな座席を機材の後方部分にまとめて設定してみてはどうでしょうか。つまり、ネットでダイレクトに買うことができ、買うタイミングによって価格も変動する。うまくいけば、ホノルル往復のチケットを9800円で買うことができるかもしれません。

 しかし、機内のサービスはLCCと同じ。機内食もドリンクも有料サービスだし、預け入れ荷物もサイズや重さに応じた有料価格になる。そんな5つめのクラスが設定されていて、季節によって価格が変動するのは、主にこの最後のクラスだけにするというアイデアです。

 この販売戦略はANAにとっては取りやすいと思います。ANAは傘下にピーチというLCCを抱えているからです。場合によってはホノルル便はピーチとの共同運航にして、ピーチに提供する座席数をシーズンや曜日によって柔軟に変えてしまうことで、ANAの座席自体は値崩れさせないという販売手法も取り得るわけです。

 とはいえ、まずは5月24日に運航開始する「フライング・ホヌ」の利用状況を見てからでもいいでしょう。新しい機材で、かつ新しくて楽しいホノルルへの旅が始まるのです。少なくとも、運航初年度は大人気になるでしょう。

 その上で、徐々に新しい需要を創造しなければならない状況へと需給が変化してきたときに、ホノルル線が値崩れしないような新しい売り方が求められる――。そんなことがこれから起き、そのときに新しい販売戦略が登場するのではないかと私は予想しています。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)