地域共生社会を実現するカギは
「参加」「協働」にある

ぐるんとびー駒寄ベッド脇に来た子どもと話す利用者

「ぐるんとびー駒寄」が活用している在宅サービス、小多機は、「地域包括ケアシステム」の今後の主役サービスと位置付けられた。地域包括ケア研究会が、この3月末にまとめた第7回の報告書「2040年:多元的社会における地域包括ケアシステム――参加と協働で作る包摂的な社会」で「地域共生社会」が論じられ、そこで「小多機を地域づくりの拠点と考える」と明記している。

 さらに、小多機は「地域包括支援センターより小地域に計画的に整備されている」と評価し、「地域共生社会を支える人材として期待される」とも記す。なぜなら、小多機は24時間ケアなので「生活全体を支えるケア」の専門家となりえるからだという。

 つまり、「地域共生社会」を目指すときに中核となるサービスは小多機であることを、2つの報告書ははっきりと打ち出した。地域共生社会の報告書では先駆例として小多機の「ぐるんとびー駒寄」を挙げ、地域包括ケアの報告書では、小多機の有効性を詳細につづっている。

 現行制度では、小多機は介護保険サービスなので、対象者は高齢者に限られる。だが、「ぐるんとびー駒寄」では小学生たちが自由に出入りしており、保険制度の枠を乗り越えてしまった。これまでの保険者、市区町村自治体であれば「保険制度を逸脱している」と介入してくる。介護保険はサービスごとに対象者や面積基準、人員配置基準が決めているからだ。だが「共生」では、子どもや障害者など利用者を限定しない。

 補助金の目的外使用を禁じる法律という壁もある。介護保険サービスのために施設などを造る際に補助金を活用すると、ほかの目的には使えない。利用者の枠をはみ出せない。「共生」に立ちはだかる壁といわれる。

 厚労省は介護保険の地域支援事業や障害者総合支援制度の地域生活支援事業、子ども・子育て支援制度の地域子育て支援拠点事業などについては、相互乗り入れを認める通知「地域づくりに資する事業の一体的な実施について」を一昨年3月に出している。だが、通所介護やグループホーム、小多機など介護保険の給付事業には触れていない。保険者の判断次第という段階にとどまっている。

「縦割りでなくごちゃまぜ」との別名もある地域共生社会。高齢者ケアの延長線上に、障害者や子どもなどを含む全属性・全世代を対象にして生活全体を支える、という方向に進みそうだ。小多機がその格好のサービスで、先駆例が「ぐるんとびー」だろう。

 2つの報告書を重ねて読むことで、そのような理解に達することができる。2つの報告書は、その表題で共に「参加と協働」を打ち出した。テーマを共有している。4人の有力委員が両研究会に名を連ねている。両研究会はリレー競争のバトンゾーンにいるようなもので、「参加」「協働」がバトンそのもののようだ。「地域包括ケア」から「地域共生社会」への過渡期であることをよく示している。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)