「ユーモアがあって明るそう」と好感を持った人もいれば、「軽そうだな」とか「抜け目なさそう」と感じた人もいるかもしれません。または、なんとなく心がざわついた人もいるでしょう。

「彼をどう思ったか」は、あなたの立場や性別、ご自身の持つ価値観などによって変わってきますが、大事なことは、他者の人物像を捉えるときの明確な基準を持つこと、その基準の客観性や正確性が高いことです。

「人をどう解釈するか」については、これまで多くの著名な心理学者がさまざまな立場や視点から理論を展開し、主張してきました。

 パーソナリティーーや動機付けで有名なブライアン・R・リトルは、心理学者ジョージ・ケリーが提唱したパーソナリティーー理論から、他者を解釈する「評価基準」は複雑な動きをして絶えず変化していること、個人的要因(その人の経験や感情など)の影響を多く受けていることを指摘しています。

 つまり、私たちは、他者を理解する、それぞれ独自の評価基準を持ち、その評価基準によって作られた「枠組み」から他人のパーソナリティーや物語を想像しているということです。

 話を入社式の自己紹介に戻したいと思います。

 あらためて、あなたが多田野さんの自己紹介から彼のどんなパーソナリティーや物語を想像したかを思い出してみてください。あなたが彼のパーソナリティーや物語を想像するに至った経緯や背景を掘り下げてみると、あなた自身の「枠組み」、すなわち自分は他者をどう解釈するのかが見えてくるでしょう。

 ブライアン・R・リトルは、人は他者を解釈する枠組みを広く持つほど世の中に適応しやすくなり、このことは自分の幸福に関係していると指摘しています。確かに、自分の枠組みが広いほどさまざまな人や環境を受容でき、それをポジティブに捉えることができれば、幸福度も高くなりそうです。

 しかし、世の中は「枠組み」の広い人ばかりではありません。この理論からいえば、枠組みが広くない人は、自分の評価基準に当てはまらない出来事や人が出現すると不安や違和感を抱くことになります。

 以上のことを踏まえると、あなたの順番がきたときに、どんな自己紹介をしたらいいでしょうか。