私の場合、幸運なことに、これまで備えはしていても一度も避難所に行かずに済んでいます。とはいえ備えは必要なので、災害用の食品は常にリニューアルしています。賞味期限が3年の保存食でも、余裕を見て2年に一度新しいものに取り替えて、古いものはもったいないからと家族で食べるのですが、私はどうもこの習慣が好きではありません。

 特に嫌いなのが「かんぱん」で、これが苦手なのはどうしようもないのですが、少なくとも缶詰はもっと好きなものを買い置きしておきたい。そう考えると、百均の缶詰ではなくむしろお歳暮用のカニ缶のようなゴージャスなものを、災害用のナップサックには入れておきたいと常々考えてきたわけです。

 ただ、カニ缶で災害時にカロリーが補給できるかというと、それはまた問題がありそうです。そう考えると、大好きな吉野家の牛丼の味を災害用のナップサックに入れておくというのはよいアイデアであり、災害用にも十分に役立つし、2年に一度の入れ替えの際も不平不満はまったくなく平らげることができるわけです。

価格が高くても売れる市場は
探せばもっとある?

 さて、ここまでの話を「災害用という特殊な例だから、たまたま牛丼の缶詰がヒットしている」と考えて終わりにするのは、ビジネスの思考トレーニングとしてもったいないというのが今回のポイントです。

 飲食業、加工食品業に関係するみなさんは、この例を基に「他にもっと気づいていない、価格が高くても売れる市場があるのではないか」ということを考えてみてはどうでしょう。

 具体的には、お土産、贈答品、学校給食、介護、記念日関連などなど。売り方としても、通販、定期購入、限定品の予約購入、製造したばかりの商品を届けるなど、いろいろな方法があります。加工食品なら、グリコのポッキーが銀座のクラブでマドラー代わりに使われている例もあるし、それを飲食店で売るという方法もあります。

 種明かしを聞いてしまうと、コロンブスの卵のような牛丼缶詰の話ですが、ビジネスの応用範囲は意外と広いと思うのです。いかがでしょうか。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)