【おとなの漫画評vol.23】
『子連れ狼 干城殺陣編』
2019年4月19日
主婦の友社
小池一夫(原作)小島剛夕(作画)
82歳でこの世を去った
漫画界の巨匠・小池一夫の名作
1970年代に登場した劇画の代表的な作品『子連れ狼』がB5判の雑誌別冊スタイルに再編集され、主婦の友社から次々に刊行されている。作画は時代劇の劇画で有名な小島剛夕、そして原作は小池一夫だ。小池は今年(2019年)4月17日、82歳でこの世を去ったが、膨大な作品を残した漫画の世界の巨匠(マエストロ)である。
『子連れ狼』の再編集版はこれまでに以下のラインナップで出版されている。1巻から並べると、
『子連れ狼 一殺五百両編』 2018年4月12日
『子連れ狼 冥府魔道編』 2018年6月14日
『子連れ狼 二河白道編』 2018年8月17日
『子連れ狼 刺客街道編』 2018年10月25日
『子連れ狼 乞胸お雪編』 2018年12月28日
『子連れ狼 首斬り朝右衛門編』 2019年2月13日
『子連れ狼 干城殺陣編』 2019年4月19日
『子連れ狼』の紙の単行本は数社から何度も全巻が出版されているものの、現在はいずれも品切れだ。電子書籍はゴマブックスから出ているのでいつでも購入できるが、主婦の友社版のこのB5判シリーズはとてもよい。大きいので読みやすいし、小島剛夕の豪快で華麗で、そして墨痕鮮やかな書道のごとき画風を味わうことができる。
『子連れ狼』の主人公は拝一刀(おがみ・いっとう)。徳川将軍家の剣術指南役であり、大名でもあった柳生一門の策略で拝家は一族が殺害される。残った一刀は息子の大五郎を奇抜な木製乳母車に入れて復讐の旅に出る。
道中では刺客(闇の暗殺者)として収入を得ている。復讐の一念で毎日を過ごしているが、幼い大五郎にも暗殺仕事を助手として手伝わせている。まるで地獄をめぐる旅のようだから、これを「冥府魔道」というわけだ。