香港で六四は起こりうる
中国共産党が受ける世界からの圧力

 六四の時とは異なり、今回の事件では死人は出てはいないもの、前出の写真のように負傷者は出ている(6月13日までに70人以上が負傷)。何より、学生たちによる抗議活動を“暴動”と定義付け、それに向かって“発砲”した構造は、六四において学生たちの抗議活動を“反革命”と定義付け、それに向かって発砲した天安門広場を完全に彷彿させる。

 習近平政権になって以来市民社会へのあらゆる引き締めや抑圧が日増しに厳しくなり、言論や集会の自由が劇的に奪われている中国本土で、六四が再来する可能性は限りなくゼロに近いと筆者は考える。

 しかし、香港は中国ではあるが、中国本土ではない。その形態や動向に疑問や批判が投げられながらも、“一国二制度”体制の下、香港では中国本土とは異なる制度が取られている。近年中央政府による抑圧的な政策とそれに迎合する香港政府の対策により圧迫されているとはいうものの、言論の自由、司法の独立、市民社会といった制度や価値観が、基本的には機能している。

 六四は、香港では起こりうるということだ。

 そして、共産党指導部はそれを警戒している。「全世界が香港に注目している。それはすなわち中国共産党が世界規模で圧力を受けるということだ」(国務院弁公庁幹部)。と同時に、同党がより警戒するのが、香港が引き金となり、国際世論が“反共産党”“反中国”に傾く過程で、香港の波が中国本土にまで及び、中国人民が政治的自由や権利を求めて“覚醒”してしまう事態である。

 台湾と香港間で“反共”“反中”的な連動はすでに起きている。その波が、約14億人が暮らす中国本土(筆者注:台湾人口約2300万人、香港人口約750万人)にまで押し寄せれば、中国共産党にとって過去30年における最大の統治危機となるに違いない。