PPMほど作成者の意志が
入り込む図はない

  一方、両カメラを一括りにカメラとして描けば、一眼レフの比重が大きい企業では、「金の成る木」か「負け犬」に位置づけられてしまう。

 一般に、「金の成る木」は刈り取り、「花形」は維持・強化、「問題児」は選別、「負け犬」は撤退が、定石といわれているが、事業単位のくくり方によって、事業の戦略定石が変わってしまうのである。

 第2に、シェアの測り方で円の位置は大きく変わってくる。市場が国内で閉じている時代であれば、国内シェアを考えるだけで問題なかった。しかし、グローバル市場で競争している場合、どこまでを分母と考えるかが難しい。分母が変われば、当然シェアも変わってくる。

 第3に、過去何年分の成長率を市場成長率として使うかによっても、円の位置は変わってしまう。

 そして第4に、「花形」と「金の成る木」の境界線をどこで引くかによって、事業の位置付けは変わってしまう。境界線として、(1)全事業の成長率の平均値、(2)企業の全社売上高成長率、(3)GDPの伸び率、(4)企業の必要とする成長率、(5)業界の平均成長率などが使われるが、どれが正解ということはない。しかしどれを用いるかで、事業の位置付けは大きく変わってしまう。

 PPMはいったん作成されると、客観的な図として社内の稟議を通っていくが、逆にPPMほど作成者の意志が入り込む図はないと言えよう。作成者の意志が入っていることを知らずに、PPMに基づいて意思決定することは、片目をつぶって運転することに等しい。

 逆に作成者の立場から言えば、PPMの図から事業の強化・撤退等の意思決定をするというよりも、事業の強化・撤退等の方針を「見える化」するために、PPMをサポート資料として使う、というのが現実ではないだろうか。