本当に足りない人には政府の支援を

 上記は、平均的なサラリーマンについての話である。諸般の事情で、懸命に働いても現役時代の所得が低くて貯蓄ができなかった人、働きたくても働けない人などなども多いだろう。そうした人々に対して「老後も働け」などと言うつもりは毛頭ない。

 自助努力が難しい人や自助努力だけでは足りない人には、政府がそれ相応の支援をすることが必要であり、政府がその努力を放棄するために「自助努力」を強調することがあってはならない。

 しかし一方で、働いて稼げる人までもが政府に過度の支援を要求するべきではない。あくまでも自助努力が大原則である、という当然のことを今次文書は述べているにすぎない。

 今次文書は、かなり反響があったようだが、いたずらに政府を批判したり老後の不安におびえたりするのではなく、自助努力で何とかなる人とならない人の区別をしっかりすることが最も重要であろう。

政府としても自助努力の後押しを

 個々人に自助努力を求めるのであれば、政府としても後押しをすべきである。その意味では、70歳雇用で企業に努力義務を課そうという方針は是とされる。重要なのは、企業自身に70歳まで雇うことを要請するのではなく、従業員が70歳まで働けるように企業が支援すべき、としている点である。

 企業が従業員に対して転職や起業の支援などを含め、さまざまな支援をすることで、従業員が70歳まで働くことが容易になるのであれば、それは素晴らしいことだ。

 政府としても、高齢者が働くと年金がカットされてしまう「在職老齢年金制度」を見直す方針であると伝えられている。これも当然の動きであろう。是非とも早期に実現してほしいものである。