すぐに「機嫌がいい法」をつかってみよう

 また、アランが強調するのは、不機嫌さの原因が、精神的なものよりも、それが身体の変調によるものが多いということです。アランは、肉体を支配し鍛えることによって、心を統御することの大切さを説いています。その意味では、昨今の筋トレブームなどは的を射ているのかもしれません。

 「誰かがいら立ったり不機嫌であったりするのは、往々にして、その人があまりにも長い間立ちどおしていたことから生じる」のであり、そのときには「その人に椅子を差し出してあげよ」とアランは言います。

 他のプロポには、「いやな人間に会ったなら、まず笑顔を見せてあげることが必要」と記されています。優しさ、親切、快活さや、お辞儀したり微笑したりすることが大切。また、「自分自身と喧嘩をしない」ようにしましょう。私たちは自分の決断や行動についてあれこれ考えますが、それは自分と争っていることになります。独り相撲のようなものですから、これも確かに無駄な労力です。

 さらに、アランは「上機嫌」を生活の義務の第一位にもってきます。これは、いわゆるポジティブ・シンキングの元祖のようなものです。何かが起こったら、その悪い面に焦点を当てるのではなく、良い面に焦点を当てるのです。

 「微笑すること、親切な言葉、善い感謝の言葉をいうこと、冷淡な馬鹿者に対しても親切にすること」などを実行すれば、上機嫌の波は自分の周囲に広がります。だれでも雨が降っていると不機嫌になります。「雨か、嫌だなぁ」と考えるのではなく、あえて「なんていい湿り具合だ」と言ってみることで気分を変えます。

 現在の自己啓発ではアファーメーション(自己宣言)が強調されます。人は必ず声に出す出さないにかかわらずセルフ・トーク(自分自身への語りかけ)をしています。ですから、つねに自分の言葉に意識をむけて、ポジティブな言葉を使っているかどうかを確認するのです。「幸福になる努力」をする生活をこころがけましょう。

人生で役に立つこと
なんにも努力しないで、「幸福になりたいなぁ……」と言っていても幸福にはなれない。今日から幸福になろうと決意して、生活の中に幸福になるためのノウハウをどんどん取り入れていこう。