一連の流れを通じて、私のようなカウンセラーが相談者と対話し、介在することで、「あの出来事は自分でこう感じていたのだな」と省みることができて、ふに落ちるようになります。

 思考や問題が整理できた上で、今すぐに問題を解決したい方には、その方のペースにあわせてカウンセラーがアドバイスすることもあります。一方で、自分ではなかなか問題の解決策を考えることが難しい場合は、思考が整理された後に、自分はどうすれば「より良い自分でいられるのか」を一緒に探していきます。

「より良い自分」とは、漠然とした気持ちがすっきりすればいいのか、問題となっている人間関係をクリアにしたいのか、その人によって解決策も異なります。ただ、いずれにせよ、こちらが「ベスト」の状態を決めないことがカウンセリングでは重要です。何かの型にはめるのではなく、ご本人から引き出していくのです。

 今の世の中は、何が良くて、何がダメなのか白黒つけがちですが、それになかなか適応しきれない方が漠然と生きづらさを感じているように思います。それに対して、ありのままを受け止めてもらえるような場がカウンセリングです。

 カウンセリングは、誰かに寄りかかれている状況の中で、自分自身で問題を解決する力を身につけて、自律的に社会に適応してもらうことが目的です。例えば、「同じ状況でいつも落ち込んでいらっしゃいますね」など思考のパターンを一緒に見つけ、そのパターンに陥らないためにどんな対策ができるのか、具体的に考えていきます。

 ただ、私たちカウンセラーは必ずしも問題を解決しようとは思っていません。「こうしたらどうですか」という提案ばかりになると、それができない自分をネガティブに捉えて焦ってしまう方もいるからです。問題解決よりもありのままを受け止めて、安全に感じてもらえる場所を提供することが大切でしょう。