営業マンとしては、目の前にお客様がいる時に契約書にハンコをつかせたい。今逃げられれば、あとのフォローは面倒だし、2度と会えるかも分からない。とにかく、その場で決めてしまえば、営業効率は最大化する。

 これができれば一番である。

 しかし、この手法は今はほぼ通用しない。なぜか。

 その理由は明白で、給料が横ばい、もしくは減少傾向にある中、お客様は1つの商品の購入を決めるのに時間をかけるようになったからだ。

強引な営業は逆効果
会社の評判も落とす

 私は毎週、大学で19~22歳の学生と会って話をするが、今の若者はあまり衝動買いをしない。欲しいものはすぐには買わず、まずはネットや口コミサイトでじっくり調べる。さんざん調べて買うと決めても、価格比較サイトで最安値やポイント還元率をしっかり計算した上で購入する。

 今の若者は、けっこうしっかりしているのだ。

 このような慎重に検討するタイプのお客様に対して「今決断しなくていつ決断するのですか!」と契約を迫る……。

 どう考えても成功率は低い。

 仮にこういったお客様に対して、すごくうまくやったとする。事前に逃げ道をふさいでおけば、決まることもあるかもしれない。そんなのは10人に1人くらいだろうし、その1人も契約後にキャンセルするかもしれない。

 こういった進め方をすれば、多くのお客様は営業マンに嫌悪感を持つのは間違いない。決まらなかった残り9人は「この営業マンとは2度と話をしたくない」と思うだろう。こうなってしまったら、その後、ノーチャンスなのだ。

 目の前のお客様を逃すだけならまだいい。その営業マンだけでなく、その会社の悪い口コミが広がっていく。グーグルで会社名を打ち込んだ途端「○○会社 強引な勧誘」と出てしまう。

 こうなれば潜在客まで失うことになるのだ。