自分を振り返り、記録を残す

自分を振り返り、記録を残す習慣化でさらなる成長が加速する守屋 実(もりや・みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。

東松:僕は海外旅行からの帰りの時間を「自分を振り返る時間、自分を見つめ直す時間」と決めて実行しています。それで気が付いたことをお気に入りのノートに書いたりしているのですが、守屋さんは、何か意識的にそうした自分に向き合う時間をとったりということはされていますか?

守屋:僕は、ルーティンで日次決算、週次決算、それから月次決算というのをやっています。その日、その週、その月を振り返って、収穫や課題は何か、将来への仕込みができたかどうかなどをチェックして、次のアクションやプランを練ったりします。ですので、その時間が自分を振り返る時間になりますかね。

東松:なるほど。

守屋:月次決算というのは『新しい一歩を踏み出そう!』の本の巻末に入れている「起業50」のことです。

東松:それは、どういうことですか?

守屋:この「起業50」を1ヵ月単位で小まめに更新しているんです。自分が新たに参画した企業名を追加したり、自分のインタビュー記事が出たらそれを挿入したりとか、新しい情報を入れて常に更新しています。もし、これが1ヵ月間、何も更新されなかったとしたら、それは自分がその1ヵ月間まったく進化しなかった、現状維持だったということ。それを自分の中での活動の一つのバロメーターにしています。

東松:それは、過去のバージョンもずっとファイルは残されているのですか?

守屋:はい。ファイル名をかえて、ずっと時系列で残しています。

東松:それはいいですね。自分を成長させるツールとして早速、私も実践します(笑)。

守屋:わざわざやる振り返りは面倒臭いし、続かないですよね。自然に習慣づくように楽な方法でいいんじゃないですかね。人それぞれ違いますから、自分なりの方法でいいのではないかと思います。

東松:私の場合は、習慣づけで言うと旅先でお気に入りのノートを買うことですかね。お気に入りのノートだと自然に書きたい意欲が高まるじゃないですか。なので、とりあえず旅先で良さげなノートを買い込んで、帰りの飛行機の中で振り返って書くというのを繰り返しています。

守屋:自分なりにルーティン化されているんですね。本でもなんでもそうだと思いますが、自分なりに落とし込む、自分なりに工夫するという所は大事ですよね。たとえば、読者の方が東松さんや僕の本を読んでいただいたとしても、それは参考にはなるけれど、参考以上にはならないと思うので。

東松:「自分にとってはどうなんだ」と考えながら読んでいただくと、いちばん吸収していただけるのかなと思います。

守屋:そこに書かれたことをいかに自分なりに咀嚼して、工夫して活かせるかが大事だと思うんです。ただ、同じことを真似してやってくださいということではないんですよね。

東松:その通りですね。