自分の過去に、将来へのヒントがある

自分を振り返り、記録を残す習慣化でさらなる成長が加速する思い込みの枠を取り払ったときに、やりたいことが見つかったという東松さん

東松:OB訪問とかに来る学生とかを見ていると、自己分析ができていなくて、客観的に自分を見れていない人が結構いるなというのがありますね。やりたいことがわかりませんとか、やりたいことはわかってますけどって言っても、本当は会社に合わせてきているだけだなとか。そういう時によく言うんですが、自分の過去にヒントがあるんだよと。

守屋:そうですね。

東松:僕は就活の時に「もったいないをなくしたい!」というのを自分のキャッチフレーズにしたのです。これのもとは高校3年生の時にバスケット部で県大会4位で終わったことです。その大会では、僕らの進学校が県大会の優勝常連校に準々決勝で勝ったんです。そこに勝つためにずっと練習してきて、実際に勝てたわけですけど、そのあとの目標がなかったので次の準決勝で負けちゃったんです。これってとてももったいなかったなと。それで、それ以降は「もったいないをなくしたい!」というのが自分の中のテーマになりました。言いたいことは、自分を振り返ってみることで、何かの一歩を踏み出すきかっけやヒントが見つかるのではないかということです。

守屋:僕もよく講演が終わったあとなどに、質問とか面談に近いような状況になる時があるのですが、僕に答えを求めて僕の答えをぶつけても、それはあまり意味がないというか、あなたの人生はあなたのものですよねと。だから、あれこれ質問しながら、その本人の中にすでにあるであろう答えを引き出すようなことをやっています。おっしゃるように、その人の過去の中に、その人の未来があるんじゃないかなと思います。多分、みんななんとなく自分の中に答えはあるんだろうけど、その答えに自信がなかったり、わからないと思い込んでいるというか。だから、東松さんみたいに先に大好きなNBAのチケットを買っちゃえばいいんですよ。そうしたら、嫌でも行動せざるを得ないから(笑)。

※NBAのプレーオフのチケットを買い、有休を取り、初めて海外旅行に行ったことがきっかけとなって東松さんのリーマントラベラーの活動が始まった。

迷ったら攻める、違ったら止める

東松:守屋さんと話をしていると、本質と向き合ってきた時間が長いのかなという印象がありますが、いつぐらいからそういう感じなのですか?

守屋:ミスミの田口さんと出会った頃くらいでしょうかね。田口さんに「どうしたらいいですかね?」と聞いても、「それは、あんたが考えることだろう」と切り返され続けてきたので……。「あんたは、どうしたいんだ?」ということをずっと言われ続けてきました。で、それをずっと繰り返していたら、自分で本質を考えられる人間になったという感じでしょうか。

東松:守屋さんは、今でも田口さんだったらこれについて何て言うのかな? イエスなのかノーなのか、などを一つの判断のよりどころにされているのですか?

守屋:自分が社会人になって最初の20年はずっと田口さんのそばで育ってきましたからね。今でも、田口さんを基準に考えたりすることはありますね。それがいちばんわかりやすい判断基準だったりもしますので。日本に生まれたら日本語で考えるというのと同じようなことかなと。

東松:ある意味羨ましいといいますか。私にはそういうメンター的な存在って特にいないんですよね。ただ、自分なりの行動指針というのがあって、大学のアメフト部時代、その年に優勝したチームのスローガンに「迷ったら攻める」というのがあって、これはいいなと。「迷うんだったらタックルしとけ」という意味なんですけど。今では自分なりに改善して「迷ったら攻める、違ったら止める」というのを、もう一つの行動指針にしています。

守屋:いいですね。

東松:サラリーマンなので会社から給料をもらっているのだから、会社の中で何か好きなことを見つけなきゃいけないのではと、以前は思い込んでいたのですけど、会社の中で見つからないときは会社の外で見つけてもいいのかなと。それが自分の場合は、たまたまリーマントラベラーだったのです。それが見つかって、かなり楽になりましたね。ターニングポイントになったのは、その思い込みの枠を自分で取り払ったときに考え方が広がって、結果、やりたいことが見つかったという感じです。

守屋:会社中心の人生だと、そういう感覚になりますよね。でも、自分中心なら、たまたま会社にいる時もあればいない時もあると。主語がどうしても昭和の働く世代は会社なのでしょうかね。

東松:でも、これからの時代はそれだとフィットしないから、今からこういう本を読んで自分軸で踏み出すことに備えたほうがいいですよね。

守屋:きれいにまとめていただいて、ありがとうございます(笑)。

東松:いえ、こちらこそ、本日は、どうもありがとうございました。

守屋:どうも、ありがとうございました。