バトンを受け取り、つないでいく

大津:後閑さんは、34歳で亡くなった患者さんに影響を受けたと書かれていましたね。

後閑:34歳の男性が会社で突然の心停止になって、職場にはAEDがあったのに救急隊が来るまで誰も何もしないまま病院に運ばれてきました。
 心肺蘇生しようとしましたが、やはり第一発見者が適切な処置をしていないと、どんなに病院に優秀な医療者がいても助かりません。
 AEDは普及したけれど、それを使ってくれる人はまだまだ足りないと思って、BLS(一次救命処置)・ACLS(二次救命処置)のインストラクターを始めました。
 やはり突然死は悲しい。周囲の人も受け止めるのが難しいですから……。防ぐことのできる突然死は、防ぎたいんです。

大津:興味深い活動ですね。救急的な側面の活動をしながら、同時に療養病棟のスタッフもなさっているわけですから。

後閑:死が完全な終わりではなく、そこからきっと何かが続いていくのだろうなと思っていますし、続けていきたいです。

まとめ
(1)死から遡って考えれば、今から悔いの少ない人生を送ることができる
(2)人は他者の生き方を自分に刻んで生き、自分の生き方を他者に刻んで生きている
(3)バトンを受け取って、つないでいこう