人生が上手くいくには、
自分の特徴を活用していくしかない

 でも、実際はこれだけは世界一、なんて思えることは少ないですよね。多くの人が「これでいいのか」と自信を持てずにいる。そこが問題だと思います。

 私もそうだったんです。私は天文学者になりたかった。でも私の数学の才能なんてたかが知れている。どんなに頑張ってもフィールズ賞は獲れません。数学の天才と言われる人たちと出会って、それがわかりました。それは私にとって大きな挫折でした。この先、どうしたらいいのか?

 その底からどうやって這いあがってきたかと言えば、それでも自分の特徴を生かせる場所を見つけられたからです。ナスビは立派なナスビになるしかないということです。

 私は自分の数学を活かすために、大学では経営学に振り切りました。マーケティングのゼミに進みましたが、当時はそこまでマーケティングを突き詰めていたわけではありません。競馬の勝ち馬の予想モデルとかを作っていました(笑)。P&Gに就職してマーケティングに本格的に向き合うわけですが、パッケージデザインの良しあしなんて私にはわからなかった。だから確率思考の戦略を突き詰めていったのです。

 一貫しているのは、自分の得意なことに投資し続けたということです。それしかありません。自分の人生が上手くいくには、自分の特徴を活用していくしかないということです。

 このなかでマーケティングをやりたいと思っている人はたくさんいるかもしれません。でも大企業のマーケティングの採用枠はすごく小さいですよね。しかし、マーケティングという業務を実体験できる場所というのは、実はたくさんあるんです。たとえば、花屋さんのアルバイトだってマーケティングはできるんです。お客さんがいればマーケティングはできる。もっといえば、人生のどんな場面にもマーケティングは活かせるんです。

 何が言いたいかというと、人はみなモザイク模様だということです。遠くから見ると灰色なんです。でもよーく見ると、黒の部分と白の部分がある。それを見極めて、自分の特徴をわかって行動する人間が成功するということです。天才だけが成功するんじゃないんです。己の特徴をわかって、それを磨き上げた人が成功するんです。

森岡 毅(もりおか・つよし)
戦略家・マーケター
高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイデアを生み出すノウハウ、マーケティング理論等、一連の暗黙知であったマーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」を開発。経営危機にあったUSJに導入し、わずか数年で劇的に経営再建した。1972年生まれ。神戸大学経営学部卒。1996年、P&G入社。日本ヴィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネージャー、ウエラジャパン副代表等を経て2010年にユー・エス・ジェイ入社。革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったUSJをV字回復させる。2012年より同社チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、マーケティング本部長。2017年にUSJを退社し、マーケティング精鋭集団「刀」を設立。「マーケティングで日本を元気に」という大義の下、数々のプロジェクトを推進。USJ時代に断念した沖縄テーマパーク構想に再び着手し注目を集める。著書に、『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(KADOKAWA)、『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(KADOKAWA)、『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』(共著、KADOKAWA)、『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』(日経BP社)、『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』(ダイヤモンド社)