自分の好きなことと得意なことが
一致しない場合、どうするか?

 娘に『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』の原稿を読ませました。そうしたら返事が来ました。「要するに、自分で選べっていうことだよね」と書いてありました。2行にまとめられるとちょっと切ないんですが(笑)、間違っていません。その通りです。自分で選ぶということです。自分の強みを選んで、それが相対的に勝つ確率の高いところを選ぶということです。

 自分の好きなことと得意なことが一致しない場合もあるかと思います。この問題の本質は、自分が間違っているということではありません。自分のやりたいことの中で自分の勝ち筋が見つかっていないというだけのことです。要は、やりたいことをやれということです。

 私が本当に天文学者になりたいのであれば、天文学者を目指せばよかったんです。でも私の本当にやりたいことは、天文学者になることではなく、世の中に自分の考えを放り投げたとき、どんな変化が起こるかを知りたいということだった。世の中に変化の爪痕を残したかったんです。世の中にどんな変化の波風が起きるか、その瞬間を見ることにドキドキする。生きているという実感を得られる。それがたとえ失敗だったとしてもです。どんな答えが出るのか、これを見ずに私は死ねないんです。

 だから、天文学者になるということはひとつの選択肢ではあるけど、必ずしもそれでなくてはならないというわけではない。それがわかったので私は文転しました。この考え方を参考にしていただきたい。

 みなさんのやりたいことを、もう少し突き詰めて考えていただきたい。おそらくみなさんが魅力を感じていることというのは、みなさんのこれまでの経験の中で、自分の強みや特徴とどこかがフィットしているはずです。そこの焦点が見えていないから「なんか向いていない気がする」というのはもったいない話です。

「美容師に向いているか、いないか」という話ではないのです。美容師のどういう特徴には向いているけど、どういう特徴には向いていないという話です。自分の向いている部分に力を絞っていけば、みなさんは成功できます。大丈夫です。どんな職業にも、複合的な要素が混じっています。その中から自分が得意な要素をみつけることです。どうしても足りない部分は感謝をもって人に頼ればいい。それが私の言いたかったことです。

参考記事

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