それにしても、年間で約1億2000~3000万本も消費されているとは……。日本の総人口から考えると、やはり驚くべき数字だと言わざるを得ない。やはり、傘は「消費財」になっているのだろうか。

自分の傘ではない傘を平気で持ち去ってしまう悪癖

 さらに問題は、当たり前のことだが、雨はやむのである。電車に限らず、居酒屋などに傘を置き忘れた場合、たとえ後から気がついても、その時に雨が降っていなければ、わざわざ取りに戻るだろうか。雨が降っていたなら、外に出た瞬間に忘れたことに気がつくことができよう。しかし、やまない雨はない。途中で降りだしても、わざわざ戻るよりは、近くのコンビニで買ってしまう人もいるだろう。

 傘は、かくも軽視された存在なのだ。ちょっと傘がかわいそうになってくる。

 そういった日本人の傘に対する軽視は、コンビニなどの店舗で、自分の傘ではない傘を平気で持ち去ってしまう悪癖にもあらわれている。たしかに、特に持ち去られやすいビニール傘には個性がなく、どれを使っても同じだという感覚はある。しかし、一口にビニール傘といっても、サイズに違いはあるし、メーカーもいくつかあるし、汚れかたなどによって自分の傘がどれであるかは、なんとなく皆わかっているはずだ。

 とはいえ、自分の傘がなくなっている場合は、「まあ、いいか」と似たような別の傘を持ち去ってしまう人も多いのではないだろうか(いけないことではあるが)。そういった事態を防ぐため、傘にシールをつけたり、自分の苗字を書いていたりする人もいるが、そうした工夫を施された傘が、置き忘れられていることを見かけたこともある。

「ビニール傘は使い捨て」という認識を持っている人もいて、プラスチックや金属ゴミが増えるという観点から、その認識に警笛を鳴らす声もある。また、壊れたビニール傘が放置され、強風にあおられて飛んでくる場面を目撃して、思わず肝を冷やした人も多いのではないか。

 考えられる解決法としては、高価でおしゃれな傘を買うということである。「消費財」から「おしゃれアイテム」にすることで、より傘に対する執着が増し、高価な商品なだけに、「なくしても別にいいや」という軽視のされかたはされないようになる。