実は一般の“常識”に反して、服と靴は「浮力体(水に浮きやすいもの)」になる。特に軽量化された今時のスニーカーやサンダルは、発泡ウレタン樹脂が使われているので簡単に水に浮く。つまり、靴を履いていた方が体は浮きやすいのだ。

「人間は下半身が重いので、水に引きずり込まれるように脚から沈みます。しかし、靴の浮力で脚が浮くことにより、楽に背浮きのまま水面に浮いていられるのです」

 ただし、ゴム素材の靴は沈むので注意が必要だという。水辺に遊びに行く前に、バケツに水を張って靴を浮かべてみるといいかもしれない。長靴も開口部から水が入り込むので避けた方がいいだろう。とにかく軽い靴を履いていくこと。ここが案外、生死の境目になるかもしれない。

 では、服の生地は水を吸い込んでしまわないのだろうか。「水面に対して体が垂直になってしまうと、首周りから空気が押しだされて沈んでしまいますが、背浮きの状態を保つことで洋服も即席の浮き袋になります」

 なまじ「服を着たままでは溺れる」という恐怖心でもがくほど、身体と服の隙間に潜んでいた空気が抜けて沈んでしまうのだという。

「重ね着や厚着をしていた方が空気の層が何重にもあるので、助かりやすいのですよ」

 実際、東日本大震災では空気を多く含むダウンジャケットを着ていた方が、津波からの生還率が高かったという記録がある。浮力体になった以外に、冬の水難につきものの低体温症を防いだためだろう。

ばんざい、もしくはハの字で
論より実践、とにかく浮いてみよう

「浮いて待て」の姿勢は次の通りだ。