「有事の金」から読み解く“安全資産としてのビットコイン”説安全資産としての需要が高まり、価格が上昇しているとされる金 Photo:Olivier Le Moal/Getty Images

 米中貿易摩擦の深刻化による景気減速懸念などから、安全資産として金の価格が上昇しているとされるが、足元ではもう一つ、ビットコインが安全資産としての需要の高まりから値上がりしているとの見方が浮上している。果たして「仮想通貨の雄」は安全資産になり得るのだろうか。

金価格には「実質金利」が影響

 まずは「有事の金」の価格の在り方から見ていこう。そもそも金価格の動向を説明する場合、さまざまな取り上げられ方や分析がなされてきたが、実際の現物需給バランスだけで考えるとその動向分析は非常に難しい。

 というのも、金の需要の内訳を見た時に、宝飾品需要が5~6割を占めるが、宝飾品も実需ばかりではなく投機目的のものも存在する上、純粋な投機(延べ棒やコイン、ETFなど)の比率も年によるが3~4割を占めており、投機的な動きが現物の需給に影響を与えやすいためだ。

 金の価格動向についての説明力が高いと弊社が考えているのが、「実質金利」である。実質金利は、名目金利から期待インフレ率を差し引いたものを指す。

 この実質金利で説明可能な水準から金価格が上下に乖離することがある。下方に乖離しているときは「安全資産需要が後退し、よりリスクのある商品が選好され」、上方に乖離しているときは、「何らかのリスクが発生して安全資産需要が高まる」と考えられる。