吸着水雷は強力な磁石を付けた小型爆弾で、アクアラングを背負ったダイバーがボートや小型潜水艇で港に潜入、停泊中の敵艦船の水線(海面の線)下に取り付け、時限信管で爆発させる。

 第2次世界大戦中の1943年9月、英軍特殊部隊の14人がカヌー3隻でシンガポールの港に潜入、吸着水雷で日本の貨物船7隻を沈没、または破損させた。1945年7月には英軍の超小型潜水艇でシンガポールに潜入したダイバーが重巡洋艦「高雄」の船底に吸着水雷を付け、大亀裂を生じさせた。人が抱えて泳げるような小型水雷でも、水中では爆発の圧力が周囲の水に抑えられ、船に向かって集中するから相当な威力を発揮する。

 だが「コクカ・カレイジャス」の破孔は1回目の午前6時45分頃の爆発によるもので、右舷船尾の水線より少し上だった。その約3時間後に起きた2回目の爆発は、右舷中央部の水線よりはるかに高い位置に小さな穴を生じさせた。

 泳いで船に接近するダイバーは、目標の船の水線下には比較的容易に吸着水雷を付けられるが、泳ぎながら水線より上に爆弾を持ち上げて付けるのはシンクロナイズドスイミングより難しいし、水線下に穴をあけないと効果は乏しい。

 まして2回目の攻撃の破孔は、水面から手が届かないような高い舷側に生じている。何のために、どうやって水雷を高い場所に取り付けたか、極めて不自然な話だ。もしヘリコプターか無人機が搭載する小型のミサイルを誤射すれば、このような被害が生じる可能性がある。

つじつま合わない「証拠写真」
「反イラク感情」抱かせる狙い?

「コクカ・カレイジャス」の航海速力は14.3ノット(時速26キロ)、航行中にダイバーが泳いで水雷を取り付けるのはまず不可能だ。サウジアラビアのジュベイル港に停泊中か、あるいは10日に出港したのちカタールのムサイード港に寄港した際に付けられた、ということになる。

 複数の水雷を付けるならほぼ同時に爆発するようにするはずで、3時間もの差があるのもおかしい。「コクカ・カレイジャス」の乗組員は「砲弾のような物が飛来した」と報告している。1回目の爆発は突然だから思い違いが起きる可能性もあるが、それによる右舷後部の火災を消し、緊張しているはずだから、もし右舷にもう1個異様な物体が付いていれば気付くだろう。「砲弾のような物が飛来した」との乗組員の証言は無視できない。