日本国内で最大規模の本の総合展示会「東京国際ブックフェア」が消えて3年。当初は休止といわれていたが、主催のリード社が2018年に事業を撤退し、同展の開催は事実上不可能になっている。国際ブックフェアは、出版文化の成熟度を象徴するイベントでもある。だが出版大国と世界的に認知される日本で国際ブックフェアが消滅し、復活できないのはどうしてなのだろうか?
世界的には人気が高い
国際ブックフェア
自国の出版社や海外の出版社が本を並べ、グローバルに版権や流通の商談が行われる国際ブックフェア。国によっては商談だけでなく、一般来場者に特別価格で本を販売するケースもある。珍しい海外の本を知る機会にもなっており、本好きには楽しみなイベント。2019年は、59ヵ国の71会場で開催される。
韓国、中国、台湾でも国際ブックフェアへの関心は高く、特に中国では、子どもの本のフェアを含めると年3回も行われている。だが、その国際ブックフェアの開催国リストに日本の名前はない。
全国出版協会の調査によると、日本の出版産業は、1996年の書籍と雑誌を合わせた売上高2兆6564億円をピークにダウン。2018年は売上高1兆2921億円とピーク時の半分以下になってしまい、業界に元気がなくなっているのは事実だが、それでも新刊の発行点数は世界第7位の出版先進国なのである。
にもかかわらず、本を国内外にアピールする総合的な国際ブックフェアは2016年を最後に消えたままだ。
日本で2016年まで行われていた国際ブックフェアは、「東京国際ブックフェア(TIBF)」と呼ばれ、その前身は日本の主要な出版社が集まり組織する日本書籍出版協会(書協)が、出版事業の発展と出版文化の向上を目指して1984年に始めた本の総合展「日本の本展」だった。それを1994年から産業見本市などの運営に携わるリードエグジビションジャパン(リード社)が書協と連携した実行委員会とともに、大規模なTIBFへと発展させたのである。まさに出版社に勢いがあった時代を象徴する国際ブックフェアのスタートだった。
その後、出版全体が斜陽産業といわれ始め、出版社の出展ブースは縮小傾向になったものの、本の割引販売や作家との交流などを目当てにした一般来場者は増加し、本と読者をつなぐブックフェアとしても注目され、盛り上がりを見せていた。