スマートフォンやタブレット端末が普及してからというもの、家計の中で出費が大きく膨らみがちなのが通信費だ。だが、
「多くの人にとって、まだまだ見直す余地があるのが通信費です。格安SIMを提供する通信事業者に乗り換えれば、大幅に安くできるからです」
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とファイナンシャルプランナーの藤川太さんは指摘する。
SIMとは、スマホに差し込むと、通話や通信が可能になるICチップのこと。格安SIMの販売業者(MVNO=仮想移動体通信事業者)は、大手の通信設備を借りてサービスを提供している。大手に対抗するには、コストを抑えて料金設定を下げるしかない。その結果、NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社より、はるかに安い料金で提供する通信事業者がたくさんある。
藤川さん自身、かつては大手キャリアを使い、一家4人で月額3万3千円を支払っていたが、格安SIMに乗り換えたところ、月額1万2千円にまで激減した。
しかも、1人あたり6GBが上限のパケット通信量を確保。上限を超えると通信速度が遅くなるが、動画を頻繁に見ない限り、6GB程度あれば不自由しないという。さらに、このプランでは最大60分まで通話できるパック付きだ。
MMD研究所が調査した平均値で見ても、月々2万5292円も安くなる。10年経つと、約304万円というまとまった額が浮く計算だ。
「一家で数万円支払っている場合は、通信費の見直しを提案しています」(藤川さん)
政府の要請を受け、NTTドコモとauは6月、新プランを発表して料金の引き下げを行った。両社とも、1人1GBを上限に4人で使用すれば、「1980円×4人=7920円」というプランで、お得感がある。もっとも、1人3GB超のパケット通信量が欲しければ、格安SIMのほうが割安だ。
10月には第4の大手通信事業者として楽天がサービスをスタートさせる予定で、その際には格安SIM並みの低価格な料金プランを提供するとの予測もある。それに伴い、大手3社がさらに料金を見直す可能性も考えられる。
通称「2年縛り」と呼ばれる、2年契約を中途解約した場合の違約金も1千円に引き下げられる見込みだ。格安SIMを上回る有利なプランが出てきたら、遠慮なく乗り換えるのが正解だろう。
(ライター・大西洋平)
※AERA dot.より転載