韓国と対立するほど文政権の思惑にはまりかねない日本への警鐘
韓国と対立するほど文政権の思惑にはまり、国際社会での立場を失いかねないことに、日本は早く気付くべきだ(写真はイメージです) Photo:123RF

今回の日韓対立で
日本が反省すべき2つの点

 日本政府は7月上旬、半導体や有機ELパネル製造に必要な3品目の材料について、韓国に対する輸出ルールを変更した。それに端を発する日韓の対立が収まらない。前回の記事『日韓貿易戦争になれば、中国に「漁夫の利」を与えるだけで終わる理由』で「仮に日韓貿易戦争になれば得をするのは中国だけだ」という主張をしたが、その前提として、今回の措置はあくまで日本の国内法上の問題であって、WTOが定める最恵国待遇の議論とは異なるということを述べた。

 一方韓国側は、徴用工問題を絡めた経済報復はWTO違反であると主張する。早稲田大学社会科学総合学術院教授で、筆者も学生時代から知己である福永有夏教授も、7月3日付の日本経済新聞記事で「他国に政策変更を迫る手段として貿易措置を使うのは米国と同じだ。批判すべき立場の日本が同じようなことをしたのは残念だ」と述べている。

 安全保障貿易の例外規定についても「今は安保上の例外規定を乱用しているともいえる米国が問題となっている。日本は乱用を監視する役割を果たすべきで、発動には慎重になるべきだ」と述べている。

 国際関係は「Tit for Tat」(しっぺ返し)で成り立っているので、短期的な自国の利益だけで物事を判断すると、後々逆の立場に自国が置かれた場合に、自身に同じ論理が跳ね返ってくることがある。その意味で、貿易の規制につながる行為は、TPP11など自由貿易を促進することを自国の国益と考える日本にとって、極めて慎重にならなければならないことである。

 ただしそれでも筆者は、今回の日本の措置はアメリカが中国に行っているような対抗措置とは異なり、国際問題化させるべき問題ではないと考えるが、日本にも2つ反省点があると考える。

 1つは、今回の措置の実施にあたって、世耕経産大臣が経緯の1つとして、いわゆる徴用工問題を理由に日韓の信頼関係が損なわれたことをツイッターで指摘したことだ。