もう1つは、世界がシェアリングエコノミー化している中で、映像コンテンツ等についてもその流れは無視できない。権利を独占保有して有料テレビ局の価値を高めるという発想自体が前時代的であり、インターネットを介して誰でもコンテンツにアクセスが可能であることを生かし、広くリーチしたファンに対してのサービス提供が競争力になるという方向に変わっていくのではないか。実際、東南アジア(タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア)における英PL(2019/20-2021/22シーズン)とFacebookの放映権契約は土壇場で破談となっている。その理由は公開されていないが、Facebook側が放映権料のROIを精査した結果であるかもしれず、非常に興味深い。

D2Cモデルへシフト

 将来を見越した新たなモデルも見られ始めている。

 ライツオーナー(協会やリーグなど)がファンに直接、試合のライブ映像を届けるサービスを開始する事例が増えているのだ。リーグや協会が自前でOTTを展開し、いわゆるD2C(DirecttoCustomer)モデルで収益化するというものである。

 欧州サッカー連盟(UEFA)は自前OTT「UEFA.tv」の立ち上げを発表した。まずはユース大会や女子の大会の生配信、過去のアーカイブ映像の配信などを開始するという。つまり放映権として高く値が付いていない大会・試合を中心にスタートしている。

 イタリアのセリエAは、イタリア国外で放映権が売れていない地域において「SerieAPass」という自前OTTでの生配信をスタートしている。英PLもインナー利用(クラブオーナー等向け)として自前OTTを試験的に導入していると耳にしたことがある。

 どのライツオーナーも、将来はD2Cビジネスへかじを切ることを予測しながらも、そのタイミングに備えて試験的に実績を積み重ねている状況であろう。

放映権ビジネス拡大へ世界展開が加速

 筆者が活動しているフットボール分野だけでも、グローバル競争は日に日に激化しており、欧州のビッグリーグはアジアや米国といった市場での収益化を進めるために投資を続けている。前述した通り、英PLの放映権収入は3シーズンで1兆円を超えるが、そのうち海外比率は4割を超えている。