5Gには「高速大容量通信」「超信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴があるとされる。つまり「より速く」なるだけでなく、エラーなく、リアルタイム性の高い通信が可能になる。また、同時にたくさんの接続が可能になるので、人ごみでつながりにくくなることが極めて少なくなる。

 3Gから4Gは、「より速く」すなわち「高速大容量通信」のみの進化だった。だが4Gから5Gは、他の2要素がこれに加わるという「不連続」でエポックメイキングな進化なのである。

「超信頼・低遅延通信」では通信の遅延が、従来の10分の1に短縮される。また、「多数同時接続」は、これまで1つの基地局に最大100台程度までしか同時接続できなかった端末数を「1万台」に引き上げる。

 つまり5Gでは、厳密な即時性が求められる多数の端末を同時につなぐことができる。本書によればこの場合の「端末」は、われわれの持っているスマホが主に想定されているわけではない。モノ同士が、人間を介さずにダイレクトに通信することが前提となるのだ。

自動運転システムや高度遠隔医療に
欠かせない5G

 5Gが威力を発揮するものの1つに「自動運転」がある。

 公道をドライバーなしで走るような完全自動運転を実現するには、車間距離などを判断したり、周囲の状況を把握したりするためのさまざまな機器が必要だ。レーザーやセンサー、高精度のカメラなどがそれにあたる。

 そしてそれらの機器から集められた、多様で大量のデータをAI(人工知能)が瞬時に分析して正しく判断し、自動車を制御できなければ、とても安心・安全の走行などできないだろう。

 さらに、前後を走る車や対向車などの情報も同時に分析できれば、より正確な状況把握や判断がしやすい。

 だが、1台1台の自動車に、高度なAI処理が可能な超高性能コンピューターシステムを搭載するのは、コスト的にも現実的ではない。

 そこで、すべての自動運転車や周辺状況などのデータを、クラウド(インターネット上にある共用のコンピューターシステム)に集めて分析する方法が検討されている。その場合、クラウドに接続したり、他の車と通信したりできる自動車は「コネクテッドカー」と呼ばれる。

 このようにクラウドと自動車、あるいは自動車同士の通信に、リアルタイム性と同時接続性に優れた5Gが適任なのだ。

 同様のシステムは、医療現場でも使える。例えば、高速大容量、超信頼・低遅延の5Gを使えば、熟練専門医が、高精細な映像を見ながら手術ロボットを遠隔操作して、へき地の難病患者を治すことも夢ではない。