ドナルド・トランプ米大統領が失敗を認めることはめったにない。自らの発言の行き過ぎを認めるケースはさらに少ない。それゆえ、17日の選挙集会での「彼女を送り返せ」という支持者らの連呼について同氏が示した遺憾の念は、道徳的に謝罪と同等のものだとわれわれは受け止める。同氏の支持者らがこのメッセージを理解すること、そしてトランプ氏が支持者らをけしかけるのをやめることを期待したい。トランプ氏が、ミネソタ州選出のイルハン・オマル下院議員について、彼女は米国を嫌っていると批判したのをきっかけに、ノースカロライナ州の集会の群衆は一斉に「彼女を送り返せ」と連呼し始めた。トランプ氏は今週、同集会に先立ってのツイートで「帰れ(go back)」という言葉を使っていた。今回の群衆の連呼は、大統領のこうした思慮を欠いたコメントが、醜い形での群集心理の発現をいかに容易に引き起こしうるのかということを示している。