同地域は、エボラウイルス病(出血熱)の流行地域とも一致している。アフリカ睡眠病は、寄生虫(トリパノソーマ)に感染している媒介虫(ツェツェバエ)によって人間に感染する。

寄生虫のために
農業が発展できないという事実

 牛や馬などもこれに感染し、人間と同様に慢性の経過をたどり死亡してしまう。コンゴ民主共和国の高地でない農村地域では、広大な緑の地域がありながら牛や馬を農耕のために使えないために、農業がなかなか発達しない。

 アジアや中南米の広大な小麦や米の農地が、ここでは見当たらないのだ。

 アフリカの貧困には、いろいろな理由がある。

 教育問題が古くからいわれてきたが、現在、多くのアフリカの国々では初等教育を70%以上の子どもたちが受けることができるようになり改善している。保健医療の不十分さも大きな課題である。貧しい人たちは十分な食事がとれず、環境が悪い中で病気になりやすいが、医療施設に行っても十分な治療が受けられない。そのために働けなくなるという悪循環になっている。

 他にも、内戦・テロ、汚職(国の中の一部の権力者による資源の独占)、欧米を中心とした多国籍企業による貿易支配などにより、国自体の経済力とは別に、90%を超える多くの人々は貧困から抜け出せないといわれている。

 コンゴ民主共和国では、豊富な鉱産物(銅、コバルト、ダイヤモンド、カドミウム、金、銀、亜鉛、錫、ゲルマニウム、ウラン、ラジウム、ボーキサイト、鉄鉱石、石炭など)があり、その輸出量も多い。しかしながら、1人当たりのGDPは、300米ドルぐらいとアフリカの最貧国の一つである。

 その大きな理由の1つとして、トリパノソーマという寄生虫のために農業が発展できないという事実も存在するのである。

アフリカ睡眠病が撲滅され、アフリカにおいて、牛などの家畜が増えることによる農業生産力の向上は、貧しい人々が貧国から抜け出す1つのきっかけになる可能性がある。