洋上風力発電を推進する追い風になったのが、2018年11月に国会で成立した新しい法律だ。海域利用の調整に関する法的な課題がほぼ解消され、日本でも本格的に洋上風力発電の導入が進む見通しが立った。新法がこの4月に施行されたことを受け、建設業は洋上風力発電事業にさらに引き寄せられている。

 洋上風力発電では、設備の大きさが発電量を左右する。国内では3~5メガワット級の洋上風車による発電施設(着床式)が主流だったが、現在進行中のプロジェクトは8メガワットクラスが主流となっている。洋上風力発電で日本に先行する欧州では、すでに6~8メガワット級の「大型」が中心だ。最先端では、米GEが今夏にオランダで12メガワットの「超大型」の建設開始を予定している。

 この世界的な流れに乗り、清水のSEP船は8~12メガワット級の建設に対応できる仕様となる。2500トンまで耐えられる揚重能力を持つクレーンを備え、8メガワット風車ならば1度に7基まで搭載できる能力を持つ。

 当然、建造費も莫大だ。船だけで約400億円、技術開発や実用化のためのトレーニングなどにかかる費用を含めると500億円規模の投資となる。これは、2019年度にスタートした5カ年の中期経営計画の投資計画のうち、「インフラ・再生可能エネルギー新規事業(フロンティア事業他)」に投資する1300億円から拠出される。

 同規模のSEP船を欧州から借りるという選択肢もあるが、世界的にも大型対応のSEP船が不足していることに加え、輸送に片道数十憶円、レンタル費用は1日数千万円が掛かってしまう。

大林組、マリコンの五洋らも攻める中で
「洋上風力のリーダーシップを取りたい」

8月にも建造を始めるSEP船 提供:清水建設

 他のゼネコンも発電設備の建設について研究を重ねている。2019年1月に準大手ゼネコンの五洋建設が10メガワット級の風力発電設備に対応するSEP船をいち早く完成させ、大手ゼネコンの大林組も最大10メガワット級に対応する船を20年10月の完成目指して建造中だ。

 スーパーゼネコンの大林組は、秋田県北部沖で事業者として洋上風力発電に参加しており、その周辺でも計画中だ。清水が建造船に大型投資をすることを耳にした大林組の蓮輪賢治社長は、「洋上風力発電の市場は大きいので、競合するというよりも建設業界全体で広げていきたい」と歓迎してみせた。