平日は9回、休日は17回も朝礼を行った
平日は1日9回、休日はいちばん多い日で17回。これだけ多くの朝礼を行うのは、スタッフが多い時で約300人に上り、出勤時間がバラバラだからという物理的な理由もありますが、朝礼を単なる業務連絡の場にしたくなかったからです。
単なる業務連絡で熱の入らない朝礼にならないようにした工夫など、詳しい話は拙著『サンリオピューロランドの人づくり』にまとめたのですが、一例を紹介しますと、朝礼の時間を使って毎日15分の研修を実施しました。
言葉遣いや振る舞いなど、接客における初歩中の初歩ができておらず、館内スタッフの接客スキル向上が「待ったなし」の状況だったからです。
朝礼によって正しい知識とスキルを身につけ、スタッフ同士のコミュニケーションも活発になったことで、スタッフの表情から自信と楽しさを感じ取れるようになりました。お客様と直接触れ合うスタッフは、ピューロランドの顔です。表情がどんよりとしていたスタッフが、お客様を迎えるのにふさわしい笑顔へと変わっていきました。
朝礼は単なる業務連絡ではなく
逆にスタッフから学ぶ場になった
こうした背景もあり、当初はアルバイトスタッフに教える場だという認識でしたが、実は私を含め、社員や役員が若い人たちから学ぶ場でもありました。
というのも、アルバイトスタッフの多くが、ピューロランドがメーンターゲットに据える高校生や大学生の女性。つまり「最強の潜在顧客」なのです。その立場で語られる指摘は、ビジネス戦略を考えるうえで「宝物」だったのです。幹部社員が学ぶ姿勢でいると、スタッフも愛着のあるピューロランドをよりよくするための一員として、当事者意識を持って参加してくれます。
このようにピューロランドでは、情報の双方向での「共有」が行われ、それぞれの立場で学び合う朝礼が、現在のV字回復への礎となりました。
これはピューロランドに限った話ではないはずです。朝礼という場を上役が上から一方的に業務連絡を行う場にせず、双方向のコミュニケーションの場にすること、そしてスタッフは自社の顧客でもあるという視点を持つことが大切なのではないでしょうか。
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