◎教え1
海水浴を楽しむなら、古式泳法を覚えるべきだ

 NHKの大河ドラマ「いだてん」では、アントワープオリンピックに古式泳法で出場し、クロールに惨敗した日本選手が、「日本も早急にクロールを習得しなければならない」と叫ぶ場面が印象的だった。

 その後、オリンピックに勝つためにクロール等の西洋式の泳法が普及し、古式泳法は廃れてしまったわけだが、「古式泳法はいいぞ」とオヤジさんは言い、トモキさんに「横泳ぎ」を教えてくれた。

「クロールは速く泳ぐための泳法だが、横泳ぎは、体力を使わずに長く泳ぎ続けるための泳法だ。水泳選手になる人間はごく一握り。海や川に落ちた時に助かるためとか、海水浴を楽しむためなら、絶対にクロールよりも横泳ぎをマスターした方が役に立つ。昔の武士はな、重たい甲冑をつけたまま泳いだらしいぞ。本当かどうかは分からないけどな。そんなこと、クロールではまず不可能だ。古式泳法はすごいんだ」

 しかも横泳ぎは簡単だ。

 体を横向きにして顔を水面に出し、胴体の下になる手は先へ伸ばしてもう片方の手は太ももへ伸ばし、水をすいーっとかく。同時に両足は水を挟み、歩くように動かす。顔を水につけないので、呼吸が楽だし、バシャバシャと水しぶきをあげることもなく、静かに泳げる。

 小学校のプールの時間、トモキさんが横泳ぎをして見せると、クラスメートは皆不思議そうに眺め、教師は「懐かしいな」と笑った。

 横泳ぎは確かに楽で、トモキさんは小学校2年生にして、1キロ以上も余裕で泳ぐことができた。お陰で1度、土用波にさらわれて沖合200メートルぐらいまで連れて行かれた際も落ち着いて泳ぎ、無事陸地にたどり着くことができた。

◎教え2
溺れている人をすぐに助けに行ってはいけない

 テレビでも映画でもよく、溺れている人を見ると即、主人公が水に飛び込んで救助する場面が登場するが「あんな危険なことはない。殺されるぞ。しがみつかれて動けなくなり、結局2人とも溺れることになる」と言い聞かされた。

 冒頭のエピソードでも述べたが、溺れている人が無我夢中でしがみつく力はまさに「火事場の馬鹿力」。子どもや女性であっても、信じられないくらいの強い力で自由を奪われてしまう。しかも、泳げない人の体は、泳げる人と違ってなぜか浮かない。

 溺れている最中の人には、たとえ大切な家族であっても近づくべきではない。それは自分だけでなく、お互いの生命をも危うくする。