水質にこだわるなら水が入れ替わりやすい海水浴場へ

 海水浴場の水質に詳しい専門家によると、「海の汚れは基本的に陸上から流れてくる」(国立研究機関の研究官)。人が住んでいる限り、ある程度の生活排水や工場排水などが発生する。離島にきれいな水質の海水浴場が多いのは、海流で水が入れ替わることが大きいという。

 それでは、離島ではない沼津市の海水浴場が、きれいな水質ランキングで上位に多数入ったのはなぜか。

 この専門家は「駿河湾の水深が影響した」と考えている。駿河湾の最深部は2500mで日本一深い。この深さで水の汚れが薄まりやすく、地形的に有利になっているというのだ。

 また、別の専門家は、沼津市に流れ込む富士山由来の河川の水質がきれいなことや、駿河湾は湾ではあるが外洋に対して開放的で水がよどまない、などといったことが背景にあると推測する。

 沼津市産業振興部の観光戦略課の担当者は「環境省の調査で何年もトップレベルの水質を維持しており、市としても積極的にアピールしている」と強調する。ただ、沖縄の離島に比肩する水質の良さは、全国的にはそれほど認知されているとは思えない。

「沼津市で上位にランクインした海水浴場は、砂浜の色が黒くて美しくない」(静岡県の観光関係者)といった指摘もある。「インスタ映え」しないのがネックというわけだ。ただ、それを差し引いても、沼津市の水質の良さは、もっと知られてもよいだろう。

「AA」は四つの基準全てをクリアしたきれいな海

 環境省は、全国の自治体に呼び掛けて、海水浴場の水質調査を毎年取りまとめている。水質は、以下四つの基準で判定される。(1)COD、(2)ふん便性大腸菌群数(個/100ml)、(3)透明度(m)、(4)油膜の有無。

 今回ランキングの対象にした「AA」は、CODが2mg/l以下(湖沼は3mg/l以下)、大腸菌群数は2個/100ml未満、透明度は1m以上、油膜は認められない、という4つの基準を全てクリアしている。

 ランキング上位の海水浴場は、水質の良さではエリート中のエリートだと考えていいだろう。

 なお、次回の記事では、水質が「A」「B」の海水浴場233ヵ所を対象に、「汚い水質ランキング」を取り上げる予定だ。この夏、家族や友達と海に出掛ける際には、今回の記事と併せて参考にしてほしい。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)