もちろん「考えるとはこういうことだ」と明確な答えが示されるわけではない。それは読者が自ら考えなければならない。しかし、とことん問い続ける姿勢や、問いを創り出す際の着眼点など、人生やビジネスに活きる、数多くの学びを得られることだろう。“Think Different”の世界へようこそ。(池田明季哉)

本書の要点

(1)世の中には、2種類のタイプがいる。1つは、すでに得られている定説を参照して答えを求める「では派」。もう1つは、「△△とは何か?」と問い続け、新たな知識を創り出す「とは派」である。
(2)一流と呼ばれる人は、物事の本質に迫るプリミティブな問いを立て、そこから考え始める傾向にある。
(3)「○○とは何か?」「いかにして……」の順で考えを進めると、これまでとは違った発想を展開できる。

要約本文

◆「問い」を問う
◇世界に「グランド・チャレンジ」が必要な理由

 世界有数の大富豪であり、「パブリックヘルス(公衆衛生)」の分野で慈善家として大活躍しているビル・ゲイツ。彼の最近の活動をご存知だろうか。

 2003年、ビル・ゲイツは「もし解くことができれば、世界の健康課題を劇的に解決する問題(グランド・チャレンジ)」を発表した。その1つに、「気持ちよくて誰もが使いたくなるコンドームの開発」が挙げられた。性感染症の問題解決に寄与するアイディアを募集するというのだ。

 ビル・ゲイツが課題意識を持っているのは、「重要であるのに市場に任せていては問題解決に至らない問題がある」という事実である。「グランド・チャレンジ」の提示は、才能のある人々を呼び込むことに役立つのだ。

◇世界の模範になったブラジルの奇跡

 1981年、ロサンゼルス在住のある男性が、史上初めてエイズと診断された。その後10年足らずで、エイズは世界中に広まった。特に悲惨な状況だったのはブラジルだ。世界銀行の研究員たちは、やむを得ず、感染者を見捨ててでも予防に注力すべきだと主張した。