こうした状況について、串カツ田中ホールディングスの坂本壽男経営戦略部長は、「メディア露出による反動減だ」と主張しているが、串カツ田中でここまで前年割れが続いた事態は初めてで、先行き不安は否めない。

 既存店売上高の落ち込みの要因を見ていくと、7月の既存店客数は同99.7%となんとか前年並みを維持しているものの、客単価は同96.1%と大幅に落ち込んだ。

禁煙でサラリーマン客が敬遠
客単価が2400円→2200円に

 全面禁煙に踏み切ったことで、串カツ田中は今、2つの難題に直面している。

 1つ目は、「サラリーマン客離れ」である。

 全面禁煙の導入は愛煙家にとっては困った問題で、サラリーマンを中心に敬遠されてしまった。特に、平日のサラリーマン客は、全面禁煙の導入前と比べて10%減となっている。

 メディア露出の効果でファミリー層は増え、土日の客層が増加したものの、「全体的な客層がファミリー寄りになりすぎた」(坂本経営戦略部長)というのだ。

 その反動で生じた2つ目の難題が、「客単価の減少」である。全面禁煙導入までの客単価は2400円台だったが、直近では2200円前後まで落ち込んでしまった。

 サラリーマン客と比較して、家族連れの客は単価の高いアルコールの消費量が少ない。このことが客単価の減少を引き起こしているのだ。

 この2つの難題を解決しなければ、既存店売上高の回復は難しい。

 現状を打開するために、串カツ田中はサラリーマン客の回帰に焦点を当てたキャンペーンを7月から始めた。

 2個のサイコロを振って出た目の数に応じて、人気のサワーが無料や半額になる「チンチロリンサワー」。1枚500円で「田中で飲みpass」を購入し、提示すると1ヵ月間ドリンクが199円となるなど、サラリーマンが足を運びたくなるような施策を次々に打ち出している。

 10月の消費増税に伴い、軽減税率の対象外となる外食業界は落ち込みが予想されている。また、2020年4月の改正健康増進法の施行で、多くの飲食店が受動喫煙対策を求められ、全面禁煙という施策は差別化の要因にならなくなる。

 業界に先駆けた全面禁煙は、吉と出るか凶と出るか。串カツ田中が、「正念場」を迎えている。