企業頼みから脱却して収益を生む組織へ
日本ラグビーの成長戦略

 年間16億円の費用がかかる一方で、収益はゼロ。これが小説『ノーサイド・ゲーム』で描かれたラグビーのトップリーグ各チームの実情だ。

 実際、強豪チームのサントリーサンゴリアスのシニアディレクターの土田雅人氏、パナソニックワイルドナイツのGM(ゼネラルマネジャー)の飯島均氏も年間のチーム運営費について、『ノーサイド・ゲーム』で描かれた程度だと苦笑いしながら説明する。現在の日本にプロラグビーはないため、トップリーグ16チームの母体は大企業、つまり社会人リーグだ。運営する企業にとってメディア露出等の見返りはあるものの、「企業の社会貢献」に依存して成り立っているといっていいだろう。

 さらに近年のトップリーグは、有名外国人選手が多数参加。ダン・カーター選手を筆頭に、強豪国のスター選手は年俸が1億円を超える水準だという。スター選手の加入はありがたいが、人件費が高騰して、運営費が増加している。

 今年は日本でワールドカップ(W杯)が開催されるため、企業が積極的に投資をしているが、問題はW杯後。経営者層である50代、60代はラグビー好きが多い世代だが、経費だけが膨らんでいき、収益がゼロのままでは、いつ強化を縮小するチームが出てもおかしくない。永続的な仕組みになっていないのだ。

 これを踏まえて、現状を変えるために日本ラグビー協会副会長の清宮克幸氏が打ち出したのが「新プロリーグ」構想だ。チケット収入や放映権収入がチームに分配されていない現状を改善し、スポンサー収入を含め、ラグビーで利益を出せる体制を確立する。

 具体的には、W杯を開催した12都市を中心に、プロチームを設立。参入条件などは、W杯終了直後の11月に発表される見込みで、これは、従来のスポーツ団体にはないスピード感だ。

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