立件しても、略式起訴・略式命令(罰金刑)で済まされる可能性が高い。公判にならず、5000万円もの退職金をもらった佐川氏らが罰金数十万円の幕引きで、世論が納得するかどうか…。

 大阪特捜は、1992年に発覚した自民党元副総裁の故・金丸信氏を巡る5億円のヤミ献金事件(東京佐川急便事件)を想起したのかもしれない。

 東京地検特捜部は事情聴取のため出頭を求めたが、金丸氏は拒否し、政治資金規正法違反について認める上申書を提出。東京地検特捜部は結局、聴取も逮捕もせずに略式起訴し、金丸氏は罰金20万円の略式命令を受けた。

 5億円もの“賄賂”疑惑に対する捜査の行方が注目されたのに、罰金20万円という決着に国民からは猛烈な批判が湧き起こり、「検察庁」の表札に黄色のペンキがぶちまけられる事件も起きた。

 大阪特捜は昨年5月、刑事告発された38人をいずれも不起訴としたが、検審は10人を不起訴不当と議決した。しかし、強制起訴につながる「起訴相当」の議決とは違い、再捜査で不起訴となった場合、検審は再度の審査はできない。

 だから9日の大阪特捜の決定は、ある意味で予想通りだったとはいえる。「立証・立件が困難」という伝家の宝刀を繰り出し、再度の不起訴を決定。法的な知識のない国民をけむに巻くという決着は、多少の法律的な知識のある方なら分かりきった結末だったかもしれない。

 そう、冒頭にも書いた通り、大阪特捜は国民が知りたいと求めた真実より、自らのメンツと慣例を守るために今回の判断をしたと言っても過言ではないのだ。

国民の負託に応えない検察

 大阪特捜が集めた資料、関係者から聴取した供述、認定した事実、認定できなかった事実…。有罪・無罪を問わず、積み重ねた証拠を公判で示し、何が事実で、何が事実ではないのか、裁判官の審理を仰ぐという判断はできたはずだ。

 国民の税金である捜査費を使い、国民が「知りたい」と求めた事実(捜査内容)を、メンツと慣例のために一切を公開することなく、闇に葬ってしまったのだ。

 これは「国民の負託に応える」どころか、背信行為であろう。では、大阪特捜とは誰のために存在する組織なのか。言うまでもない、自分たちが出世するための組織であり、国民のことなど考えていないのだ。