神経ブロック注射で良くなるケースもある

 さて、私の同僚のケースでは、症状とMRI画像から腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。

 腰椎椎間板ヘルニアからくる足の痛みは、神経ブロック療法で痛みを「治療する」のであれば、針先を神経の前方にもってくるのか、それとも後方にするのかを考えて注射を行わなければなりません。

 彼の場合は、神経の後方のブロック療法のみが行われていて、前方へのブロック療法は行われていませんでした。そこで、私は前方へのブロック療法を行いました。注射だけなので、全部合わせて5分程度で終了し、1時間後には歩き方も改善して帰宅できました。これで良くなるケースも多いのですが、彼の場合は、後日、「また痛みが戻ってしまった…」と、暗い雰囲気で連絡をしてきました。

 彼は「やはり手術でしょうか? もう少し簡単に治る方法はありませんか?」と心配そうでした。結局のところ、湿布も注射も効かないとなると、原因となっている椎間板を取るのがベストで、そうなると手術になってしまいます。

 読者のみなさんが想像する通り、従来、椎間板を取る手術は負担が大きいものでした。しかし、今では、手術は手術でも、全身麻酔をかけて体にメスを入れる方法ではなく、もう少し負担が少ないものがあります。

 それが、神経ブロック療法と同じように、意識のある状態で椎間板を少しだけ取る方法で、「経皮的椎間板摘出術」(けいひてきついかんばんてきしゅつじゅつ:PD)といいます。

手術直後から歩行可能!
経皮的椎間板摘出術(PD)とは?

「経皮的椎間板摘出術」とは、従来の全身麻酔を使った、椎間板を摘出する手術と違い、患者さんへの負担が非常に少ない手術方法です。

 従来の椎間板ヘルニアの手術には、全身麻酔をしてから、5~6cmほどの切開が必要で、入院10日、長いと2週間もかかりました。しかし、この経皮的椎間板摘出術ですと、1cm以下の切開をし、そこから細いデバイスを使って、レントゲン透視を見ながら椎間板を摘出します。

 メリットとしては
・局部麻酔、30分程度の手術なので術後にすぐに歩ける
・入院は基本的に1泊なので、金銭面の負担も少ない
・切開が小さいため、傷も小さく体もすぐに回復できる
ということが挙げられます。

 もちろんデメリットもあり、
・この方法が使えない部位もある
・症状が取り切れない場合は再手術もありえる

 などがあります。この方法で治らなければ、そのときは、整形外科での全身麻酔の手術が必要になりますが、従来の方法から比べれば非常に画期的です。

 私がその説明をすると、同僚は、整形外科の主治医と相談してみる、と帰っていきました。そして翌日、「整形外科の先生と相談して、先にペインクリニックで椎間板の治療をしてもらったらいいよと言われました」と明るい顔でやってきたのです。

 こうして、手術の最終決定のために椎間板の検査を行う流れとなり、結果、経皮的椎間板摘出術の適応があることが分かりました。そして、検査の翌々日には、経皮的椎間板摘出術を行いました。

 予定通り、手術は約30分で終わり、翌日には痛みはほぼゼロになりました。まだ怖いからという理由で歩行はぎこちない状態でしたが、無事に退院。数日後には仕事にも復帰でき、バリバリ働けるようになったそうです。そして、その後も再発することなく「調子はバッチリ、最高です!」とLINEが届きました。