電力株、電鉄株などの業績が安定している株式を保有して、その配当で暮らすというスタイルは確かにかつてあったのだが、東京電力のようなケースではなくとも、普通の電力株でも、単一の銘柄の場合、年間を通してみるとそれなりに大きな値動きがある。そして、将来も「絶対に大丈夫だ」といえる会社はない。

 たかだか株式会社を「この会社は絶対安心だ」と信じて、財産の大半を託すことは不適切だ。

 また、高配当利回りの株式は、業種や事業の属性に共通点を持ちやすいので、利回りを中心に投資銘柄を選ぶと、分散投資ができているつもりでも、ポートフォリオとして偏ったものになりやすい。また、投資に不慣れな方の場合、投資銘柄の業績や株価に大きな変化があった場合の対処に不安がある。

 高齢期の個人の資産運用としては、インデックスファンドに投資して、計画的に部分解約する方法が無難だ。一般的なやり方として勧めるなら、高配当銘柄の個別株を買う方法よりも、断然この方法の方が安心できる。

 もちろん、株式投資に慣れている方が、趣味的な要素も含めて、高配当利回り銘柄を中心にポートフォリオを組んで資産運用するのは結構なことだ。業種の偏りに注意しながら、大型株を中心に十数銘柄に対して分散投資を行うといい。できれば、機関投資家が使うようなポートフォリオのリスクを分析するツールを使いたいところだし、全てを高配当利回り銘柄にするのは、リスクのバランス上、好ましくないポートフォリオになる場合が多いだろう。

 なお、筆者自身は証券会社勤務や経済評論の仕事を辞めた後の「老後の楽しみ」として、自分の金融資産の大半を個別株式のポートフォリオで運用するつもりでいるが、特に高配当利回り銘柄に重点を置くつもりはない。ただし、十数銘柄から20銘柄前後の小規模なポートフォリオでリスクを抑えようとすると、大型で高配当利回りの銘柄が使いやすいので、市場の平均よりは、配当利回りがやや高いポートフォリオになる可能性が大きいだろうと推測している。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)