Q、かんぽ生命保険に続き、アフラック生命保険のがん保険でも、郵便局で不適切な販売があったとのことですが、具体的にどのような事例なのでしょうか。
A、郵便局員が自らの営業実績を水増しするために、顧客にがん保険の契約と解約を短期間で繰り返させていたという事例です。
Q、短期間で解約されてしまうと、郵便局員の営業実績にはならない気がしますが。
A、今回のケースでは、営業実績と販売手数料を分けて考えた方がよいですね。まず営業実績から見ていきましょう。
郵便局を統括する日本郵便は、営業実績=販売実績―消滅実績と規定しています。販売実績とは文字通り、どれだけ保険を販売したかという実績値です。
例えば、保険料が毎月5000円の契約を獲得すると、12ヵ月分の6万円が年換算保険料として販売実績に反映されます。
Q、消滅実績はどのような規定になっているのですか。
A、月払いのケースであれば、保険料が一度しか支払われず、失効や解約になったものは、実績が消滅すると規定しています。
これは裏を返すと、月払いで二度保険料の払い込みがあれば、その後失効や解約になっても、営業実績として消滅せず、そのまま反映されることを意味しています。
Q、その実績評価の仕組みを、悪用している郵便局員がいるということですか。
A、そうですね。保険料を二度払ったら解約してもらい、再度契約して二度払ってもらうということを、短期間のうちに繰り返すわけです。郵便局員の間では、短期間で契約を転がすこの手法を「ニコロ」と呼び、共有していると聞きます。
一件の契約でずっと保険料を払ってもらう限りは、獲得契約は一件となりますが、同じ顧客で契約と解約を二回繰り返すと二件獲得、三回繰り返せば三件獲得したことになります。
Q、手数料も同じように二件分、三件分の金額を得られるのですか。
A、いいえ、手数料はそうはなりません。手数料の規定は全く異なっていて、契約から半年以内の解約は、手数料の100%を戻すことになっています。
そのため、短期で解約になった場合は、郵便局員の金銭的なメリットはゼロです。