この本が他の本と違うところはココ
僕が学長をしているAPU(立命館アジア太平洋大学)に、清家久美教授(専門は社会学)という哲学に詳しい先生がいます。
あるとき、清家先生とたまたま大分空港で一緒になって、清家先生から、
「次の本は何ですか?」
と聞かれたので、
「哲学と宗教の全体史です」と答えたら、
「面白そうですね」
と言われたので、チェックしてもらうことにしたのですが、清家先生に最初に言われたのは、
「普通の哲学と宗教の本だったら、多分、3分の1くらいが20世紀の哲学者や宗教家の本になるでしょう。
でも、出口さんの原稿は、陰陽五行説とか普通の哲学書では聞いたこともないようなものにかなりのページ数が割かれている。
だいぶテイストが違いますね」
ということでした。
哲学と宗教の本に「陰陽五行説」なんかおかしいやないか、と言われるかもしれませんが、「陰陽五行説」は我々の日常生活を今でも縛っているのです。
戦後の日本ですら、丙午(ひのえうま)の年に女の子を産んだらいけないなどという迷信が生きているのですが、丙午という考え方自体が陰陽五行説から来ているのですね。
だから、現在の日常生活にまで影響を与えている人間の考えたことは、やはり全体を理解する必要がある。そういうことは、まともな哲学や宗教の本にはほとんど書かれていないとしても、現在も続いている習慣の根元となる考え方については、きちんと書かなければいけないというのが僕のベースにはあるのです。
(次回につづく)