洋式化と併せて重要なのが、清掃の仕様である。タイル張りの床を水で洗い流すという従来スタイルの湿式清掃は、床が濡れたままになってしまうため菌だらけ。トイレの悪臭の原因はこの湿式清掃にあり、塩ビシートの床をモップで拭く乾式清掃の方が衛生的だ。

 第2のポイントに挙げられるは、節水型トイレの導入だ。旧型トイレは1回の洗浄に13リットルの水を使っていたが、今では6リットルタイプが主流。切り替え時のイニシャルコストはランニングコストの減少によって2~3年で回収できる。東京都の学校で試算すると、年間218万円かかっていた水道代が115万円になり、プール5杯分の節水になる。全国の小中学校3万校が取り組めば、なんと160億円も水道代が節約される。

 第3のポイントは、誰もが使いやすいトイレにするためにユニバーサルデザインを採用することだ。肢体障害児に対応した多機能トイレの設置はもちろん、トイレをコミュニケーションの場と捉え、カジュアルで楽しい雰囲気にするのだ。商業施設でよく見るカラフルな色彩や、丸みを帯びた壁や扉の作りがそれだ。中学生にもなると、擬音装置の「音姫」や温水洗浄便座「ウォシュレット」を求める声も出てくる。

円形や曲線を用いたデザイン性の高いトイレ。カジュアルで楽しい雰囲気はトイレに行くことが楽しくなりそうだ

 また、2011年3月に発生した東日本大震災を通じて、地域社会における学校のトイレの役割も再認識された。東日本大震災発生時、多くの地域住民が学校に避難し、通常の何倍もの老若男女が学校のトイレを利用した。足腰が弱く和式を使えない高齢者のなかには、都度ボランティアにトイレの中で体を支えてもらうことをためらうあまり、水分をあまりとらなくなる人もいた。屋外の仮設トイレは寒さの問題はもちろん、夜間は防犯の点から女性や子どもが使いづらかったという。

 学校の常設トイレの整備を進めることは、日常の教育現場の切実なニーズに応えるものであると同時に、災害に対する備えでもある。子どもや地域住民が安心して使える清潔なトイレづくりが急務となっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

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