今、社長の人も、これから社長を目指す人も、さらにレベルアップ、スキルアップするためには、何をどうすればいいのでしょうか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『社長の成功習慣』(ダイヤモンド社、9月5日発売)は、経営者になる人にぜひ身につけてほしい50の行動習慣について解説した社長のための教科書です。本連載では、同書から抜粋して、経営者としていっそう成長するためのポイントについてお伝えしていきます。
世の中の大きな流れを考えることが大切
私は、企業の命運の8割ほどは、「企業の方向づけ」によって決まると考えています。企業の方向づけとは、「何をやるか、やらないかを決めること」です。
「従業員が頑張ってくれれば、経営はなんとかなるものだ」と考える経営者は少なくありません。
しかし、方向づけを間違えれば、どんなに優秀な従業員が頑張ってくれても経営はうまくいかないのです。
考えてみてください。
もしこれから10年間、下駄を売るビジネスを選んで会社を経営するとして、みなさんは「頑張れば会社の業績を伸ばせる」と思いますか?
少しは頑張れば売上は伸ばせるかもしれませんが、それでもさほどの結果は出ないでしょう。おそらく、下駄を売るという方向性を見直さない限り、業績アップは難しいでしょう。
逆に、過去10年間を振り返ってみてください。業績を伸ばしやすかったのは、どんなビジネスでしょうか?
たとえば、携帯電話の販売代理店などは、過去10年間なら失敗しにくく、頑張りしだいで成長しやすいビジネスだったと言えるでしょう。
下駄と携帯電話の事例を比べれば、「何をやるか」「何をやめるか」を判断する能力が、企業経営において重要であることは明らかです。
もちろん、経営戦略論の観点では、市場環境だけでなく「自分たちの強みを活かす」というのも非常に重要なポイントです。
また、「何をやるか」「何をやめるか」を判断する際には、企業の「志」や「ビジョン」にも立ち返る必要があります。
しかし、世の中の流れを大前提にすることが大切なのです。
それをもとに「方向づけ」を考える力は、企業経営者やこれからベンチャー企業を興す人にとっては欠かせないものであることは間違いありません。