貧しい子どもに経済的支援を!地方議員が「前例主義」の役所を動かす秘策低所得世帯の暮らしを守るため、地方議員はどんな活動をしているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

秋の定例会シーズンに
地方議会を賞味する意義

 酷暑の夏は足早に去り、秋の気配が深まってきた。実りの秋、食欲の秋、そして地方議会の定例会シーズンの到来だ。新米やサンマや栗やビールや日本酒の新酒とともに、わがマチの地方議会も賞味したいものである。地方議会での審議は、日々の暮らしに直結するからだ。

 地方議員は、「投票して当選してもらってナンボ」ではない。さまざまな学びの機会を活用するかどうかによって、1年、2年で活動内容に大きな差がつく。ちなみに、毎年夏に開催されている生活保護問題議員研修会には、例年、保守・革新とも幅広い会派の議員が集まり、「貧困は自己責任」「生活保護といえば不正受給」という偏見が修正されたという声もあがる。

 今回は、議員向けにレクチャーされた「議会質問の心得」の一部を翻案し、住民のための「わがマチの議会を賞味するコツ」を物語仕立てで紹介する。なお、議会質問の内容以外は、完全なフィクションである。

 土台にしたのは、2019年8月23日・24日の2日間にわたって新潟市で行われた第11回生活保護問題議員研修会において、全国から集まった約200名の地方議員たちに伝授された、議会質問の心得の一部だ。講師は、東京都内の福祉の現場で働いてきた今井伸氏(十文字学園大学教授/公的扶助論)。今井氏は長年、職場で議員たちの「質問取り」を受け、議会で答弁する立場にあった。

 では、物語に入ろう。とある低所得世帯の子ども・K君は、アニメ『響け!ユーフォニアム』に憧れ、吹奏楽部に入りたいと望んだ。しかしK君の家庭は、部活に必要な費用を捻出できるほど豊かではない。一方で、生活保護の対象になるほど低所得でもない。