女子高生の9割以上が
「効果あり」と回答

全国のドラッグストアやファンシーショップで購入可能だ

 さらに、プロジェクトの一環としてJR埼京線を利用する女子校の生徒70人に9ヵ月使用してもらったところ、94.3%が「効果を感じた」と回答。「バッジをつけてから一度も痴漢に遭っていない」「痴漢抑止バッジをつけることによって意志が強くなり、痴漢に遭いにくくなったと思う」などの声が多く寄せられたという。

「驚いたのは、クラウドファンディングの4割が男性の支援者だったこと。プロジェクトに共感したある男性が『痴漢はしたことがないが、学校の勉強で疲れているときに満員電車に乗ると、女性の体を触りたくなる衝動が起きることがあり、自分を抑えるのが大変だった。でも、このバッジを見たら我に返ってもっとラクに自制できたと思う』とSNSに書き込みしているのも見ました」(同)

 バッジはまさに、痴漢犯罪の“抑止力”としての役割を果たしているのだ。松永氏は痴漢抑止バッジは「最初の一手を防ぐツール」だと説明する。

「そもそも被害者は、痴漢を捕まえたいわけではなく、痴漢に遭いたくないんです。にもかかわらず、これまでは“痴漢に遭ったらどう対応するか”という、犯罪が起きる前提で議論される傾向がありました。対処法も、被害者が声をあげたり、是非はともかく安全ピンで加害者を刺したりと、被害者が自ら行動を起こさなければならないものばかり。しかし、バッジによって事前に抑止できれば、被害者も加害者も生まれない。そして、多くの男性が不安を感じている痴漢冤罪も起きません」

 今後も、バッジの販売店を増やし、自治体や学校と連携して痴漢抑止バッジの普及に努めると話す松永氏。2019年も「痴漢抑止バッジ」のデザインコンテストを開催した。年々規模が拡大し、今回は阪急電鉄とOsakaMetro から協賛も得た。参加対象となるのは、デザイナー志望の10代、20代の学生だ。

「被害に遭ったことがない男子学生からの応募も多く、痴漢の実態について学んでデザインをしてくれているのがありがたいですね。コンテストの審査には、学校の協力を得て中高校生に参加してもらいます。最終審査は、商業施設のギャラリーとWEBで一般投票を実施。学生時代から社会問題をテーマにしてデザインをすることの難しさやジェンダー問題に注目することは、これからの世代に必要な要素だと感じています。一人でも多くの方に、痴漢問題に関心を持ってもらうのが、被害をゼロにするための重要なポイントです」(同)