Jリーグの創設時の収益は
「人件費を含めて5億円」を想定
――Jリーグ、Bリーグ共に、地域密着を重視されています。
観客動員を増やすには地域に根差す以外、他にないよ。おらが町の代表といかに思ってくれるかだね。
──『独裁者』という著書がありますが、ある程度は強引にやる必要がありますか?
思い切った決断は必要。清宮副会長の強烈なリーダーシップは不可欠な要素だと思うが、あまりにも独断専行では反感を買う。委員会の意向として進めるなどして、好んで敵をつくる必要はない。
――ラグビーは人数が多く、人件費がかかります。
ラグビーはけがもあるので最低35人、事務局員を含めれば50人は必要。いろいろ含めると最低でも15億円程度はかかるらしいので、この部分の負担は大きい。Jリーグより恵まれているのは、世界のトップクラスの選手が来ていることだね。Jリーグの創設時は、企業負担は読売クラブが一番大きくて日テレ、読売、報知から合計9億円。あとは、人件費は別だとしても、企業負担は3億円が平均だった。
──Jリーグ創設時の収益計画はどう試算されたのでしょうか?
設立時の収益は、「人件費を含めて5億円」を一つのめどとした。人件費が選手25人、平均800万円で2億円、経費その他が3億円で年間5億円と計算。入場料金は観客が1試合1万人、チケット単価が1000円だとすると、20試合で2億円。スポンサーから1億円をもらい、あとの2億円は今の所属企業から応援してもらう。これなら、今まで出している経費と変わらないという考え方でスタートした。観客動員は、ラグビーは1万5000人が目標らしいね。現状の人数からすると厳しいが、これはJリーグもそうだった。
──実際の収益は上振れしました。
当時はプロ野球が低迷していて、マスコミに大きく取り上げてもらえた。バブルの名残もあり、いろいろなタイミングが良かった。初年度は、チームの収益が平均で25億円程度。選手の年俸が一気に上がって、ヴェルディは人件費だけで15億円程度まで増えた。いろいろ含めて、初年度の分配金は各チーム4億円ぐらいあったと記憶している。ただ、Jリーグのスタート時の放映権料は10億円。それが今はDAZNと年間210億円で契約している。DAZNは日本のスポーツ界を席巻しようという勢いだから「ラグビーも全試合」という可能性はある。